竹刀の長さの選び方は?小学生から大人までの規定一覧と注意点を解説
剣道を始めるにあたって、誰もが手にする竹刀。しかし、いざ選ぶとなると「どの長さを選べばいいのだろう?」と迷ってしまう方は少なくありません。
特に、お子様のために竹刀を選ぶ保護者の方や、新しく部活動で剣道を始める学生の皆さんにとっては、難しい問題に感じるでしょう。竹刀の長さは、実は全日本剣道連盟によって明確な規定が定められています。規定に合わない竹刀では、公式な試合に出場することができません。
この記事では、小学生から大人まで、年齢や性別に合わせた竹刀の正しい長さの選び方から、重さやバランスといった、より自分に合った一本を見つけるためのポイントまで、分かりやすく解説します。
竹刀の長さは全日本剣道連盟の規定で決まっている
剣道の試合で使う竹刀は、公平性と安全性を保つために、長さや重さ、太さなどが全日本剣道連盟の「剣道試合・審判規則」によって細かく定められています。
特に中学生以上が公式試合で使用する竹刀は、この規定を必ず満たしている必要があります。規定を知らずに試合に臨むと、検査で不合格となり、その竹刀が使えなくなってしまうこともあります。
まずは、基本となる公式ルールをしっかりと理解しておきましょう。
参考:剣道試合・審判規則
試合で使うなら知っておきたい公式ルール
公式ルールでは、竹刀の「長さ」は年代と性別で上限が定められています。規定の長さを超える竹刀は使用できませんが、それより短い分には問題ありません。
また、「重さ」は下限が定められており、規定より軽い竹刀は使用できません。この重さは鍔(つば)と鍔止めを除いた状態で計測されます。
さらに、竹刀の先端部分の直径にも最小値が定められており、安全面への配慮がなされています。これらの規定は、すべてのアスリートが公平な条件で競い合うための重要な土台となっているのです。
【一覧表】年齢・性別ごとの竹刀の長さ・重さの規定
竹刀の規定は、中学生、高校生、大学・一般でそれぞれ異なります。特に女子は、男子とは別の基準が設けられているため注意が必要です。
以下に、全日本剣道連盟が定める規定をまとめましたので、ご自身のカテゴリを確認してください。
| 対象 | サイズ | 性別 | 長さ(上限) | 重さ(下限) |
| 中学生 | 37 | 男子 | 114cm以下 | 440g以上 |
| 女子 | 114cm以下 | 400g以上 | ||
| 高校生 | 38 | 男子 | 117cm以下 | 480g以上 |
| 女子 | 117cm以下 | 420g以上 | ||
| 大学・一般 | 39 | 男子 | 120cm以下 | 510g以上 |
| 女子 | 120cm以下 | 440g以上 |
※小学生については公式な試合規定はありませんが、一般的に推奨されるサイズがあります。
詳しくは後述の「竹刀の長さに関するよくある質問」で解説します。
参考:剣道試合・審判規則の改正について | 全剣連のお知らせ | 全日本剣道連盟 AJKF
規定適合の証「SSPシール」とは?
SSPシールは、全日本武道具協同組合が定める「竹刀安全規格」に適合した竹刀に貼られるシールのことです。このシールが貼られている竹刀は、全日本剣道連盟の試合規定を満たしていることを示しており、安全に試合で使用できるという一つの目安になります。
特に、どの竹刀を選べば良いか分からない初心者の方や、試合用の竹刀を探している方は、このSSPシールが貼られているかを確認すると良いでしょう。
武道具店で竹刀を購入する際には、ぜひチェックしてみてください。
長さだけじゃない!自分に合う竹刀を選ぶポイント
竹刀を選ぶ際、規定の長さを守ることは大前提ですが、それだけで最適な一本が見つかるわけではありません。同じ長さの竹刀でも、重さや柄の太さ、重心のバランスによって、振り心地や扱いやすさは大きく変わります。
ここでは、長さ以外にチェックすべき重要なポイントを3つ紹介します。これらの要素を総合的に考慮することで、あなたの剣道をさらに向上させる一本に出会えるはずです。
規定クリアが重要!竹刀の「重さ」
竹刀の重さは、長さと同様に全日本剣道連盟の規定で下限が定められています。規定よりも軽い竹刀は試合で使用できません。竹は天然素材であるため、乾燥などによって重さが変動することがあります。そのため、購入時には規定ギリギリの重さではなく、少し余裕を持った重さのものを選ぶのがおすすめです。
また、重さは技のスピードや打突の強さに直結します。軽すぎると打ちが弱くなり、重すぎると素早い動きが難しくなるため、自分の体力や筋力に合った重さを見つけることが大切です。
握りやすさを左右する柄の「太さ」
柄(つか)の太さは、竹刀の握りやすさ、ひいては操作性に大きく影響します。手の大きさは人それぞれ違うため、自分に合った柄の太さを見つけることが重要です。柄が太すぎると、手の内で竹刀をうまく操作できず、細かい技が出しにくくなります。
逆に細すぎると、力が入りすぎてしまい、しなやかな手首の使い方が難しくなることがあります。
武道具店では様々な太さの柄の竹刀が用意されているので、実際に握ってみて、しっくりくるものを選びましょう。
振り心地が変わる竹刀の「重心(バランス)」
竹刀は、重心の位置によって振り心地が大きく異なります。重心が先端に近い「先重心(剣先重心)」の竹刀は、遠心力が働きやすく、力強い打突が可能です。
一方、重心が手元に近い「手元重心」の竹刀は、剣先が軽く感じられるため、素早い連続技や応じ技が出しやすいという特徴があります。どちらのバランスが良いかは、個人の体力や剣道のスタイルによって異なります。
いろいろな竹刀を実際に振ってみて、自分がコントロールしやすいと感じるバランスの一本を見つけることが上達への近道です。
| 重心の種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
| 先重心 | 重心が竹刀の先端寄り | 打突に伸びと威力が出る | 連続技が出しにくい場合がある |
| 手元重心 | 重心が持ち手寄り | 剣先が軽く感じ、操作性が高い | 打突が軽くなりやすい |
| 標準重心 | 両者の中間 | バランスが良く、扱いやすい | 特徴的な技が出しにくい場合がある |
代表的な竹刀の種類・特徴
竹刀は、その形状によっていくつかの種類に分けられます。それぞれに特徴があり、剣道家のレベルや目指すスタイルによって適したものが異なります。
ここでは、代表的な4種類の竹刀、「普及型」「胴張り型」「古刀型」「小判型」について、その特徴を解説します。それぞれの違いを理解し、自分の目的に合った竹刀を選びましょう。
まずはここから!基本の「普及型(標準型)」
普及型は、最も一般的で標準的な形状の竹刀です。全体のバランスが良く、クセがないため、初心者から上級者まで幅広く使われています。
特定の特徴がない分、基本的な打ち方や構えを身につけるのに最適です。価格も手頃なものが多く、最初の一本として選ぶには最も適した竹刀と言えるでしょう。
どの種類を選べばよいか迷った場合は、まずこの普及型から試してみることをお勧めします。
胴が張っていて手元重心の「胴張り型・実戦型」
胴張り型は、竹刀の最も太い部分(胴)が張っており、重心が手元に寄っているのが特徴です。剣先が軽く感じられるため、操作性が高く、返し技や出ばな技といった素早い技を繰り出しやすいとされています。
試合用として好む選手が多く、「実戦型」とも呼ばれます。ただし、剣先が細くなっている分、普及型に比べて耐久性が若干劣る傾向があります。
まっすぐで刀に近い「古刀型(直刀型)」
古刀型は、胴の張りが少なく、剣先から柄までが比較的まっすぐな形状をした竹刀です。
その名の通り、日本刀に近いバランスを持っており、重心は剣先寄りになります。これにより、打突に伸びと力強さが生まれます。じっくりと攻め、一撃の重さを重視する剣道スタイルの方に適しています。
ただし、操作にはある程度の筋力が必要となるため、中級者から上級者向けの竹刀と言えるでしょう。
正しい握りが身につく「小判型」
小判型は、柄の断面が円形ではなく、名前の通り小判のような楕円形をしている竹刀です。この形状により、自然と正しい手の内で握ることができ、刃筋の通った正しい打突を身につける助けとなります。
特に、手の小さい方や、握り方が定まらない初心者、子供たちにおすすめです。木刀に近い握り心地なので、形(かた)の稽古にも適しています。
| 竹刀の種類 | 形状の特徴 | こんな人におすすめ |
| 普及型 | 全体のバランスが良い標準的な形 | 初心者、どの竹刀が良いか迷っている人 |
| 胴張り型 | 胴が張り、重心が手元にある | 試合で素早い技を出したい人、操作性を重視する人 |
| 古刀型 | 胴の張りが少なく、剣先が太め | 力強い一撃を打ちたい人、中級者~上級者 |
| 小判型 | 柄の断面が楕円形 | 正しい握りを身につけたい初心者、手の小さい人 |
竹刀の長さに関するよくある質問
竹刀選び、特に長さに関しては、多くの人が疑問を持つポイントです。
ここでは、特に質問の多い「小学生の竹刀の選び方」「女性や手の小さい人の選び方」「購入場所」についてお答えします。これらのQ&Aを参考に、竹刀選びの不安を解消してください。
小学生は身長に合わせて選んでも良い?
小学生の竹刀には、中学生以上のような全日本剣道連盟による厳密な試合規定(長さ・重さ)はありません。そのため、お子様の身長や体格に合わせて選ぶのが一般的です。
目安として、竹刀を脇に挟んだ時に、竹刀の先端が肩の高さを超えない程度の長さが良いとされています。長すぎる竹刀は扱いにくく、正しいフォームが身につくのを妨げる可能性があります。
成長に合わせて適切な長さの竹刀を選んであげることが大切です。
| 学年(目安) | 推奨サイズ |
| 幼年~小学1年生 | 28~30(2尺8寸~3尺) |
| 小学2~3年生 | 32~33(3尺2寸~3尺3寸) |
| 小学4年生 | 34(3尺4寸) |
| 小学5年生 | 35~36(3尺5寸~3尺6寸) |
| 小学6年生 | 36(3尺6寸) |
女性や手の小さい人はどう選ぶべき?
女性や手の小さい方は、規定の範囲内で自分に合った竹刀を選ぶことが重要です。高校生や大学・一般の女性は、男子と同じ長さの規定ですが、重さは軽く設定されています。
また、柄が細めに作られた竹刀や、前述した「小判型」の竹刀も握りやすいためおすすめです。無理に太い柄の竹刀を使うと、手首を痛める原因にもなりかねません。
実際に複数の竹刀を握り比べ、最も自分の手に馴染むものを選びましょう。
竹刀はどこで購入するのがおすすめ?
竹刀は、剣道具を専門に扱う「武道具店」で購入するのが最もおすすめです。専門店の店員は知識が豊富なので、あなたの年齢、性別、レベルに合った竹刀選びのアドバイスをもらえます。
また、多くの店舗では実際に竹刀を振って重心のバランスを確かめることもできます。
最近ではオンラインストアも充実していますが、特に初心者の方は、一度実店舗に足を運び、専門家のアドバイスを受けながら自分に合った一本を見つけるのが良いでしょう。
深沢邦之さんの竹刀選び動画 ↓
まとめ
竹刀の長さを選ぶことは、安全かつ公平に剣道を楽しむための第一歩です。中学生以上は全日本剣道連盟の規定を必ず守り、小学生は身長に合わせた適切なサイズの竹刀を選ぶことが重要です。
長さだけでなく、重さ、柄の太さ、重心のバランスといった要素も考慮することで、より自分の剣道スタイルに合った最適な一本を見つけることができます。この記事を参考に、あなただけの一本を選び、日々の稽古に励んでください。
また、栄光武道具では、初心者から上級者まで一人ひとりに最適な竹刀選びをサポートしています。素材や仕組み、重量バランスなど、使う人の体格や目的に合わせた豊富なラインナップを取り揃えており、試合用・稽古用など用途別にも最適な一本をお選びいただけます。経験豊富なスタッフが丁寧にアドバイスいたしますので、竹刀選びに迷った際はぜひご相談ください。