剣道豆知識

竹刀の組み立て方を初心者向けに徹底解説!必要な道具から手順まで紹介

剣道を始めたばかりの方が最初につまずきやすいのが、竹刀の組み立てです。バラバラの竹刀を前に「どうすればいいの?」と戸惑うこともあるでしょう。

しかし、自分で竹刀を組み立て、手入れをすることは、剣道の上達と安全な稽古のために非常に重要です。

この記事では、初心者の方でも分かりやすいように、竹刀の組み立て方を手順に沿って丁寧に解説します。

竹刀の組み立てを始める前に知っておきたいこと

竹刀の組み立てをスムーズに進めるためには、事前の準備と知識が大切です。      

まずは、竹刀の各部位の名称と役割、そして必要な道具を揃えましょう。

竹刀の各部位の名称と役割を覚えよう

竹刀は、主に4枚の「竹」、先端に取り付ける「先革(さきがわ)」、握る部分の「柄革(つかがわ)」、竹を束ねる「中結い(なかゆい)」、そして全体を繋ぐ「弦(つる)」から構成されています。

それぞれの部品の名称と役割を覚えることが、正しく組み立てるための第一歩です。

部位名称 役割
打突を行う本体部分。4枚の竹を合わせて作られている。
先革 竹刀の先端を保護し、相手への危険を防ぐ革製の部品。
先芯 先革の中に入れるゴム製の部品。竹が先革を突き破るのを防ぐ。
先革と柄革をつなぎ、竹刀全体を固定する紐。
中結い 竹刀の物打ち(打突部)あたりを固定する革製の紐。竹がバラバラになるのを防ぐ。
柄革 握る部分に取り付けられる革製の部品。

組み立てやメンテナンスに必要な道具一覧

竹刀の組み立てや日々のメンテナンスには、いくつかの道具があると便利です。武道具店やオンラインストアで揃えることができます。

最低限、ラジオペンチや千枚通しは用意しておくと作業が格段に楽になります。

  • ラジオペンチ:弦や中結いを締め込む際に使用します。
  • 千枚通し:固く結ばれた弦や中結いをほどく際に役立ちます。
  • ハサミ:余った弦や中結いを切るために使います。
  • 竹刀削り:竹のささくれを削るための専用の道具です。
  • 竹刀油:竹の乾燥を防ぎ、長持ちさせるために塗布します。

竹刀の分解手順

組み立てる前に、分解の手順を覚えましょう。

古い竹刀の部品を交換する場合や、竹を入れ替える際には分解作業が必要になります。分解は、組み立ての逆の手順で行います。

手順1:中結いをほどく

まず、竹刀の中ほどに巻かれている中結いをほどきます。結び目が固い場合は、千枚通しなどを使って少しずつ緩めていきましょう。

中結いは通常3回ほど巻かれているので、全てほどいて取り外します。

手順2:弦を柄革から外す

次に、弦を柄革から外します。柄革の先端に巻き付けられている部分をほどいていきます。

この部分も固く締まっていることが多いので、千枚通しなどを使いながら慎重に作業を進めてください。弦がほどけたら、柄革や調整革から弦を抜き取ります。

手順3:先革と先芯を外す

弦が外れたら、竹刀の先端から先革を引き抜きます。先革を外すと、中に「先芯」と呼ばれるゴムの部品が入っているので、これも取り外します。

先芯は安全上非常に重要な部品なので、紛失しないように注意してください。

手順4:柄革を抜く

最後に、竹刀から柄革を抜きます。新品の竹刀や、長く使っている竹刀は柄革が固着して抜きにくい場合があります。滑り止めのついたゴム手袋などを使うと、力を入れやすくなります。

どうしても抜けない場合は、柄革を少し水で濡らして時間をおくと抜けやすくなることがあります。

竹刀の組み立て方

ここからは、いよいよ竹刀の組み立て手順を解説します。

最初は難しく感じるかもしれませんが、一つ一つの手順を丁寧に行えば、誰でも必ず組み立てることができます。

手順1:竹を組み合わせて柄革を取り付ける

まず、4枚の竹を組み合わせます。竹には節の位置があり、その節が合うように組み合わせるのが基本です。

竹の裏側(弦が通らない側)に印がついている場合は、その印を合わせます。組み合わせたら、柄革を差し込みます。柄革の縫い目が、竹刀の背中側(弦が通る側)の真上に来るように調整しながら、根元までしっかりと押し込みましょう。

手順2:先芯をはめて先革を装着する

次に、竹刀の先端に先芯をはめます。その後、先革を装着します。先革も縫い目が竹刀の背中側に来るように真っ直ぐかぶせてください。

このとき、緩すぎると稽古中に先革が回ってしまう原因になるため、少しきつめのものを選ぶのがポイントです。

手順3:弦を先革と柄革に結びつける

弦には様々な結び方がありますが、ここでは一般的な「もやい結び」で先革に弦を取り付けます。

その後、中結いをあらかじめ弦に通しておき、柄革の革紐に弦を通します。この時、弦が緩まないようにしっかりと張りながら作業を進めるのが重要です。

弦の結び方(柄革部分) ポイント
1.柄革の革紐に弦を通す まず、手元にある革紐(通常は輪が1つか2つ)に弦を通します。
2.弦に「返し」を作る 弦自体で小さな輪(返し)を作り、そこに弦を通して結び目の土台を作ります。
3.柄革に弦を巻き付ける 弦を柄革の周りに7~8回ほど強く巻き付けます。
4.末端を固定する 最後に、巻き付けた弦の間に末端を通して固く締め、固定します。

手順4:弦の張りを調整する

弦の張り具合は、竹刀の性能や寿命に大きく影響します。弦を強く張りすぎると竹刀が反ってしまい、割れやすくなる原因になります。

逆に緩すぎると、打突時に先革がずれたり外れたりする危険があります。竹刀が少ししなる程度、指で弦を押して少し動くくらいの張りが適切です。

手順5:中結いを正しい位置に結ぶ

最後に中結いを結びます。中結いの位置は、竹刀の全長に対して剣先から約4分の1の位置と定められています。まず、中結いを竹刀に3周きつく巻き付けます。

その後、弦をまたぐようにして、革紐を結んでいきます。結び方は複雑に見えますが、一度覚えてしまえば簡単です。余った部分はハサミで切り落としましょう。

竹刀を組み立てる際の注意点

安全に剣道を行うために、竹刀を組み立てる際にはいくつかの注意点があります。正しい知識を身につけ、事故を未然に防ぎましょう。

弦の張りすぎに注意する

前述の通り、弦の張りすぎは竹刀の破損に直結します。

特に新しい弦は伸びやすいため、最初は少しきつめに感じるかもしれませんが、使い込むうちに馴染んできます。適度な張りを保つことを常に意識してください。

中結いの位置は正確に

中結いの位置がずれていると、正しい「物打ち」で打突することができません。

また、試合では規定違反となる可能性もあります。必ず剣先から4分の1の位置に結ぶようにしましょう。メジャーなどで測るとより正確です。

部品の劣化や竹のささくれをチェックする

組み立ての際には、必ず各部品の状態を確認しましょう。先革や中結いが薄くなっていないか、柄革に破れがないかなどを点検します。

特に竹のささくれは非常に危険ですので、見つけたら必ず竹刀削りで滑らかにするか、その竹の使用を中止してください。

竹刀の保管方法とメンテナンス

組み立てた竹刀を長持ちさせ、常に良い状態で使うためには、日々のメンテナンスと適切な保管が欠かせません。

大切な道具をいたわる気持ちも、剣道の一部です。

稽古後の簡単なお手入れ方法

稽古が終わったら、乾いたタオルで竹刀についた汗や汚れを拭き取りましょう。

特に柄革は汗を吸いやすいため、念入りに拭いてください。この一手間が、カビの発生を防ぎ、部品の寿命を延ばします。

長持ちさせるための保管場所

竹刀は、直射日光が当たらず、風通しの良い場所で保管するのが理想です。

極端な乾燥や湿気は竹の劣化を早める原因となります。車の中など高温多湿になる場所に長時間放置するのは避けましょう。

立てかけて保管するのが一般的です。

定期的なメンテナンスの重要性

稽古の前後には、必ず竹刀の状態をチェックする習慣をつけましょう。弦や中結いの緩み、竹のささくれや割れがないかを確認します。

月に一度は分解して、竹刀油を塗るなどの本格的な手入れを行うと、竹刀はさらに長持ちします。

メンテナンス項目 頻度の目安 内容
日常点検 稽古の前後 弦や中結いの緩み、ささくれの有無などを目視で確認する。
油の塗布 月に1回程度 竹の乾燥を防ぐため、竹刀油を薄く塗る。
部品交換 劣化が見られた際 先革、中結い、弦などが摩耗・劣化した場合は速やかに交換する。

まとめ

竹刀の組み立ては、剣道を安全に、そして深く楽しむための基本的な技術です。

最初は時間がかかるかもしれませんが、慣れれば短時間でできるようになります。自分で手入れした竹刀には特別な愛着が湧くはずです。この記事を参考に、ぜひ竹刀の組み立てに挑戦してみてください。

また、栄光武道具では、初心者から上級者まで満足できる多彩な竹刀を取り揃えています。素材や太さ、重心バランスなど、用途やレベルに合わせて選べるラインナップをご用意してます。

あなたにぴったりの竹刀がきっと見つかりますので、この機会にぜひチェックしてみてください。

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