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剣道の面サイズ、正しい測り方は?初心者にもわかる選び方も紹介!

剣道は、心身を鍛える日本の伝統武道です。その厳しい稽古に集中し、技術を向上させるためには、自分に合った防具、特に「面」を正しく選ぶことが重要です。

しかし、これから剣道を始める方や、成長期のお子様のために防具を選ぶ保護者の方にとって、サイズの選び方は大きな悩みの種ではないでしょうか。面のサイズが合わないと、上達が遅れるだけでなく、安全にも関わる問題を引き起こす可能性があります。

この記事では、剣道の面サイズの重要性から、初心者でも簡単にできる正確な測り方、そして購入時に失敗しないための選び方のポイントまで、網羅的に解説します。

なぜ剣道の面で正しいサイズ選びが重要なのか

剣道防具の中でも、頭部を保護する面は最も重要な武具の一つです。面のサイズが適切であることは、単に快適さだけでなく、技術の習熟度や安全性に直接的な影響を及ぼします。

ここでは、正しい面サイズを選ぶことがなぜそれほど重要なのか、具体的な理由を3つの側面から解説します。

項目  サイズが合っていない場合の問題点 正しいサイズの場合の利点
集中力  面がずれて集中が途切れ、稽古の質が低下する 常に快適で、稽古や試合に集中できる
安全性  打突の衝撃でずれ、怪我のリスクが高まる 衝撃を効果的に吸収し、頭部を確実に保護する
快適性  圧迫感や痛みで不快。継続意欲が低下する ストレスなく装着でき、剣道を長く楽しめる

上達のスピードに直結する

面のサイズが合っていないと、稽古中に面がずれたり、ぐらついたりしてしまいます。そのたびに位置を直していては、集中力が途切れてしまい、指導者の話や相手の動きに注意を払うことができません。特に、相手の竹刀の動きを正確に見極めるための「物見(ものみ)」と呼ばれる面金の間隔が目の位置とずれていると、視界が妨げられ、正確な打突や防御が困難になります。

自分にぴったりの面を装着することで、ぶれない視界と快適な装着感が得られ、稽古の質が向上し、結果として上達のスピードが格段に速まるのです。

安全性の確保と怪我の予防

剣道は、竹刀で相手の定められた部位を打突する武道です。面は、頭部、顔面、喉への強烈な打撃から身を守るための最も重要な防具です。もし面が大きすぎると、打突の衝撃で面がずれてしまい、防護されていない部分に竹刀が当たる危険性があります。

逆に小さすぎると、頭部やアゴが過度に圧迫され、痛みや不快感だけでなく、顎関節への負担や頭痛の原因にもなりかねません。正しいサイズの面は、打撃の衝撃を適切に分散させ、重大な怪我のリスクを最小限に抑えるために不可欠です。

長く快適に剣道を続けるために

不快な防具を我慢して使い続けることは、剣道そのものへの意欲を削いでしまう原因にもなります。特に、剣道を始めたばかりの子供たちにとっては、防具の不快感が「剣道は痛い、苦しい」というネガティブな印象に繋がり、長続きしない要因となり得ます。

体にフィットした快適な面は、稽古へのモチベーションを維持し、剣道の楽しさや奥深さを感じながら長く続けていくための大切なパートナーと言えるでしょう。

剣道の面サイズ計測に必要な2つの基本寸法

剣道の面サイズを正確に知るためには、主に2つの寸法を測る必要があります。それは、顔周りの縦の長さを示す「A寸」と、頭周りの横の長さを示す「B寸」です。

この2つの数値を正確に測ることが、最適な面を選ぶための第一歩です。ここでは、それぞれの測り方を解説します。

顔の縦サイズ(A寸)の測り方

A寸は、アゴの先端から耳の前を通り、頭頂部をぐるっと一周させた長さです。この寸法が、面のサイズ表記の基本となります。測る際は、柔らかい裁縫用のメジャーを使用してください。

  1. メジャーの始点をアゴの先端にしっかりと当てます。
  2. そこから耳の付け根のすぐ前を通るようにメジャーを沿わせます。
  3. そのまま頭のてっぺん(頭頂部)を通過させます。
  4. 反対側の耳の前を通り、アゴの先端まで戻ってきて一周させます。
  5. メジャーが交差した点の数値を読み取ります。これがA寸です。

メジャーが緩すぎたり、逆に食い込むほどきつく締めたりしないよう、顔の輪郭にぴったりと沿わせるのがポイントです。

ハチマキ周りの横サイズ(B寸)の測り方

B寸は、一般的にハチマキを巻く位置、つまりおでこの中央から後頭部の一番出っ張っている部分を通り、水平に一周させた長さです。この寸法は、面の横幅のフィット感を確認するために重要です。

  1. メジャーをおでこの中央(眉毛の少し上あたり)に当てます。
  2. 地面と水平になるように意識しながら、メジャーを頭の後ろへ回します。
  3. 後頭部の一番出っ張っている部分を通るようにします。
  4. そのまま一周させて、メジャーの始点と交わった点の数値を読み取ります。これがB寸です。

B寸は、A寸から約10cm引いた数値が平均的とされていますが、頭の形には個人差があるため、必ず実測するようにしましょう。

計測時に間違いやすい注意点

正確な数値を測るためには、いくつかの注意点があります。セルフチェックで陥りがちなミスを防ぎ、より正確な計測を行いましょう。

  • 一人で測らない:可能な限り、他の人に測ってもらうのが理想です。一人で測るとメジャーがずれたり、数値を正確に読み取れなかったりする可能性があります。
  • 金属製メジャーは使わない:金属製のメジャーは硬く、顔や頭のカーブに沿わせることができないため、正確な数値を測れません。必ず布製などの柔らかいメジャーを使用してください。
  • 髪型に注意:髪を結んでいたり、ボリュームのある髪型だったりすると、計測値に誤差が生じることがあります。できるだけ髪を下ろした自然な状態で測るようにしましょう。
  • 複数回測る:念のため、2~3回計測し、平均値を取ることで、より信頼性の高い数値を得ることができます。
計測箇所 測り方 ポイント
A寸(縦) アゴの先端→耳の前→頭頂部→一周 メジャーを顔の輪郭にぴったり沿わせる
B寸(横) おでこ→後頭部の出っ張り→水平に一周 地面と水平になるように意識する
共通の注意 柔らかいメジャーを使用し、二人で測るのが理想 複数回計測して平均値を取るとより正確

【年代別】面サイズ選びのポイント

面のサイズ選びは、剣道をする人の年齢や成長段階によって考慮すべき点が異なります。特に成長期にある子供の場合は、将来を見越した選び方が必要になります。

ここでは、幼年・小学生、中学生・高校生、そして大人の3つのカテゴリーに分けて、それぞれに適した面サイズ選びのポイントを解説します。

年代 選ぶ際の最優先事項 具体的なポイント
幼年・小学生 安全性と成長への対応 ジャストサイズを基本とし、面パッドで調整。軽量なモデルを選ぶ。
中学生・高校生 正確なフィット感 実寸に基づき、物見の高さも確認。試着して使用感を確かめる。
大人 完璧なフィット感と品質 1cm単位で最適なサイズを選び、頭の形も考慮。機能性も重視する。

幼年・小学生の場合:成長を見越した選び方

この時期の子供たちは成長が著しく、すぐに頭のサイズも変わります。そのため、「少し大きめ」を選びたくなるのが親心ですが、大きすぎる面は安全性の観点から危険です。打突の衝撃で面がずれてしまい、思わぬ怪我に繋がる可能性があります。

<ポイント

  • ジャストサイズを基本に:まずは現在の頭のサイズに合ったものを選びましょう。
  • 面パッドで調整:少しだけ余裕を持たせる場合は、厚手の面パッドや調整布団を内側に入れることを前提に選びます。これにより、初期はパッドでフィットさせ、成長に合わせてパッドを薄いものに変えたり外したりすることで、ある程度の期間使用することが可能になります。
  • 軽量なものを:体がまだ小さい子供にとっては、防具の重さも負担になります。できるだけ軽量で、動きやすいモデルを選ぶことも大切です。

中学生・高校生の場合:体格の変化に対応する

中高生は、身長が伸びるとともに、頭の大きさや顔つきも大人に近づいてくる時期です。稽古も本格的になり、打突の強さも増してくるため、よりフィット感と安全性が求められます。

<ポイント

  • 正確な実寸で選ぶ:この時期には成長を見越した選び方よりも、現在のサイズにぴったりと合うものを選ぶことが重要です。A寸とB寸を正確に計測し、それに合ったサイズの面を選びましょう。
  • 物見の高さを確認:身長が伸びると、目の位置も変わります。面の物見(視界を確保する面金の間隔)の高さが自分の目の位置に合っているかどうかも、重要なチェックポイントです。
  • 使用感を重視:可能であれば、実際に試着してみて、アゴの収まり具合や全体のフィット感、圧迫感がないかなどを確認するのが理想的です。

大人の場合:フィット感を最優先する

大人の場合は、これ以上体の成長によるサイズの変化はほとんどありません。そのため、ごまかしのきかない、完全なフィット感が最優先されます。長く使うものだからこそ、妥協せずに選びたいところです。

<ポイント

  • 1cm単位での選択:A寸を基準に、1cm刻みでサイズが用意されていることが多いです。自分の計測値に最も近いサイズを選びましょう。
  • 頭の形を考慮:頭のハチが張っている、後頭部が出ているなど、頭の形に特徴がある場合は、B寸の数値を販売店に伝え、相談することをおすすめします。特注やセミオーダーが可能な場合もあります。
  • 品質と機能性:稽古の頻度や目指すレベルに応じて、衝撃吸収性や通気性、耐久性といった機能面も考慮に入れると、より快適に長く剣道を続けることができます。

オンラインで面を購入する際のチェックリスト

近年、オンラインの剣道具店も充実し、手軽に防具を購入できるようになりました。しかし、実際に試着ができないオンラインでの購入は、サイズ選びの不安がつきものです。

ここでは、オンラインで面を購入する際に失敗しないためのチェックリストをご紹介します。これらのポイントをしっかり確認することで、安心して自分に合った面を選ぶことができます。

チェック項目 確認するべき内容 なぜ重要か
サイズガイドの確認 店舗指定の採寸方法、サイズ対応表 メーカーによるサイズの差異をなくし、最適なサイズを選ぶため。
調整アイテムの検討 面パッドやアゴ当ての有無、同時購入の可否 微妙なサイズ調整を可能にし、フィット感を向上させるため。
交換・返品ポリシー 交換・返品の条件、送料負担、手続き方法 サイズが合わなかった場合のリスクを最小限に抑えるため。

店舗のサイズガイドを必ず確認する

オンラインストアには、必ず独自のサイズガイドや採寸方法の案内ページがあります。同じ「65cm」というサイズ表記でも、メーカーやブランドによって実際の大きさやフィット感が微妙に異なる場合があります。

  • 指定された測り方を実践する:まずは、その店舗が推奨する方法でA寸、B寸を正確に測り直しましょう。
  • サイズ表と自分の数値を照合:計測した数値をサイズ対応表と丁寧に見比べて、最適なサイズを選びます。不明な点があれば、購入前に問い合わせフォームや電話で質問することが重要です。経験豊富なスタッフが、数値だけでは分からないフィット感についてもアドバイスをくれることがあります。

面パッドなど調整アイテムの活用

オンライン購入で「少し大きいかもしれない」という不安がある場合や、成長期のお子様のために少しでも長く使いたい場合には、調整用のアイテムを一緒に購入することを検討しましょう。

  • 面パッド(調整布団):面の内側に装着することで、フィット感を高めることができます。厚みの違うものがセットになっている商品もあり、成長に合わせて調整が可能です。
  • アゴ当て:アゴ部分のフィット感を高めるためのアイテムです。これらを利用することで、若干のサイズ誤差をカバーし、より快適な装着感を得られます。

サイズ交換や返品のポリシーを確認する

どれだけ慎重にサイズを選んでも、実際に届いた商品を装着してみるとフィットしない、という可能性はゼロではありません。万が一の事態に備えて、購入前には必ず店舗の交換・返品ポリシーを確認しておくことが重要です。

  • 交換や返品の条件:「未使用品に限る」「商品到着後〇日以内」といった条件を確認します。
  • 送料の負担:交換・返品の際に発生する送料が、自己負担なのか店舗負担なのかもチェックしておきましょう。
  • 手続きの方法:どのような手順で連絡し、商品を返送すればよいのかを事前に把握しておくと、いざという時にスムーズに対応できます。

これらのポリシーが明確で、顧客に寄り添った対応をしてくれる店舗は、信頼性が高いと言えるでしょう。

面がフィットしない時のサインと対処法

新しく購入した面でも、使っているうちに緩みが出たり、あるいは自分の感覚と微妙にずれていたりすることがあります。面が適切にフィットしていないサインを見逃さず、早めに対処することが大切です。ここでは、フィットしない場合の具体的なサインと、その対処法について解説します。

面がぐらつく、視線が安定しない場合

これは、面が大きすぎる場合に最もよく見られるサインです。打突のたびに面が上下左右にずれたり、構えた時に物見の位置が安定しなかったりします。

対処法

  1. 面紐の締め方を見直す:まずは基本に立ち返り、面紐を正しく、適切な強さで締め直してみましょう。後頭部でしっかりと結ぶことで、ある程度のぐらつきは抑えられます。
  2. 面パッド(調整布団)を入れる:面の内側、特に頭頂部や側頭部に厚手の面パッドやタオルを挟むことで、隙間を埋めてフィット感を高めることができます。
  3. 専門家への相談:上記の方法でも改善しない場合は、購入した武道具店に相談しましょう。内輪の調整などでフィット感を改善できる場合があります。

アゴや頭部が痛い、圧迫感がある場合

これは、面が小さすぎるか、頭の形に合っていない場合に起こります。長時間装着していると特定の場所が赤くなったり、頭痛がしたりすることもあります。

対処法

  1. 内輪の確認:面の内側にある「内輪(うちわ)」というパーツが、顔にフィットする重要な部分です。この内輪がきつい場合、武道具店で調整してもらうことで解決することが多いです。
  2. 面紐の緩め具合を調整:きつく締めすぎている可能性もあります。圧迫感を感じない、快適な締め具合を探ってみましょう。
  3. 買い替えの検討:どうしても痛みが取れない場合は、無理して使い続けると怪我の原因にもなります。残念ながらサイズが合っていない可能性が高いため、買い替えを検討する必要があります。

面紐の締め方でフィット感を調整する方法

面のフィット感は、面紐の締め方一つで大きく変わります。正しい締め方をマスターすることで、面の性能を最大限に引き出すことができます。

手順 説明 ポイント
1.面をかぶる アゴをしっかりと面の受け部分に乗せ、後頭部にフィットさせます。 物見から前がまっすぐ見える位置に合わせます。
2.下紐を締める 左右の下紐を、後頭部の一番出っ張っている部分の下あたりで、強く結びます。 ここでしっかりと固定するのがぐらつきを防ぐコツです。
3.上紐を締める 上紐を頭頂部を通して斜め上に引き上げ、後頭部で蝶々結びにします。 締めすぎず、面が固定される程度の力加減で行います。
4.最終確認 頭を軽く振ってみて、面がぐらつかないか、視界が安定しているかを確認します。 痛みや強い圧迫感がないかもチェックしましょう。

面サイズの正しい採寸の仕方

まとめ

剣道の面選びは、安全かつ快適に稽古に励み、技術を向上させるための重要な第一歩です。この記事で解説した、A寸・B寸の正確な測り方、年代別の選び方のポイント、そしてオンライン購入時の注意点を参考にすれば、きっとあなたやあなたのお子様にぴったりの面が見つかるはずです。

また、栄光武道具では、初心者から上級者、少年剣士から一般の方まで、一人ひとりの体格や稽古スタイルに合わせた剣道面を豊富に取り揃えています。熟練の職人が仕立てる高品質な面は、耐久性・通気性・フィット感に優れ、長時間の稽古でも快適に着用可能です。オーダーメイド対応も行っておりますので、理想の面をお探しの方はぜひご相談ください。

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