剣道豆知識

【初心者向け】竹刀の弦の結び方を徹底解説!ほどけないコツも紹介

剣道において、竹刀は自分の身体の一部とも言える大切な道具です。その竹刀を正しく維持管理することは、安全な稽古や実力の向上のために欠かせません。特に「弦」は、竹刀の性能を左右し、安全性を確保する上で非常に重要な役割を担っています。

しかし、弦の結び方は意外と複雑で、初心者の方や自己流で覚えてしまった方の中には、正しい結び方に自信がない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、竹刀の弦の結び方を写真付きで分かりやすく解説します。基本的な手順から、丈夫でほどけにくくするためのコツ、よくある質問まで網羅していますので、ぜひ参考にして、ご自身の竹刀のメンテナンスに役立ててください。

竹刀の弦を正しく結ぶことの重要性

竹刀の弦をなぜ正しく結ぶ必要があるのでしょうか。その理由は、大きく分けて「安全性の確保」と「竹刀の性能維持」の2つにあります。なんとなく結ぶのではなく、その重要性を理解することで、より丁寧に竹刀を扱えるようになります。

安全な稽古や試合のため

弦が緩んでいると、打突の衝撃で竹刀の先端についている「先革」が外れてしまう危険性があります。もし先革が外れると、4本に分かれている竹が剥き出しになり、相手の防具の隙間から入ってしまうなど、重大な怪我に繋がる可能性があります。

また、稽古中に弦が切れたりほどけたりすると、稽古を中断せざるを得なくなり、集中力の低下にも繋がります。自分と相手の安全を守るために、弦は常に適切な状態で結ばれている必要があります。

竹刀の性能を最大限に引き出すため

弦は、竹刀の「しなり」に大きく影響します。弦の張りが強すぎると竹刀がしなりにくくなり、逆に弱すぎると打突が安定しません。自分の使いやすい適度な張りを保つことで、竹刀本来の性能を引き出し、技の冴えにも繋がります。道具を最適な状態に保つことは、上達への近道です。

弦を結ぶ前に準備する道具

竹刀の弦を結ぶ作業をスムーズに進めるために、あらかじめ必要な道具を揃えておきましょう。必須の道具と、メンテナンス全般に役立つ便利なアイテムを下の表にまとめました。

道具の種類  具体例  目的・用途 
最低限必要なもの  新しい弦、竹刀本体 弦の取り付け
あると便利なもの  千枚通しやラジオペンチ 結び目を固く締めたり、古い弦を外したりする際に便利です
ゴムシートや滑り止め付き手袋 弦を強く張る際に、力を入れやすくなります
竹刀油(椿油など) 竹の乾燥を防ぎ、ささくれを防止します

最低限必要なもの

弦を結び直すだけであれば、交換用の新しい弦と竹刀本体があれば作業は可能です。弦は使用している竹刀の長さに合ったものを選んでください。武道具店などで購入できます。

あると便利なメンテナンス用品

千枚通しやラジオペンチは、特に結び目をきつく締め込む際や、固くなった古い弦をほどく際に非常に役立ちます。

また、弦をピンと張る作業は意外と力が必要です。滑り止め付きの手袋やゴムシートがあると、手が滑らずにしっかりと力を加えることができます。定期的に竹刀の手入れをする方は、揃えておくと良いでしょう。

竹刀の弦の基本的な結び方の手順

ここからは、弦の結び方の手順を解説します。一つひとつの工程を丁寧に行うことが、丈夫な結び方に繋がります。

手順1:弦を柄革に通し輪を作る

まず、弦の端を柄革(持ち手部分の革)の根元にある革紐に通します。この時、弦を調整するための「輪(返しや小物とも呼ばれます)」を作ります。この輪が、弦を強く張るための起点となるため、非常に重要です。

輪の作り方はいくつか方法がありますが、一般的には鎖編みのようにして輪を作る方法が用いられます。

手順2:弦を先革に通す

次に、作った輪とは反対側の弦の端を、竹刀の先端にある先革の穴に通します。このとき、弦がねじれないように注意してください。弦は竹刀の背(刃の反対側)に沿ってまっすぐ伸びている状態が理想です。

中結い(竹刀の中程にある革紐)がある場合は、あらかじめ弦を中結いに通してから先革に通すのを忘れないようにしましょう。

手順3:弦を強く張りながら調整する

先革に弦を通したら、柄革側に戻り、手順1で作った輪を利用して弦全体を強く張ります。弦を輪に通し、手前にぐっと引っ張ることで、てこの原理で強い張力をかけることができます。

この時、竹刀が少ししなるくらいまで、しっかりと張りを持たせることがポイントです。緩すぎるとすぐに緩みの原因になります。

手順4:結び目(こま結び)で固定する

弦が十分に張れたら、その状態を維持したまま、柄革の革紐部分で結び目を作って固定します。一般的には「こま結び」で固く結びます。

一度結んだ後、千枚通しなどを使って結び目をさらにきつく締め込むと、よりほどけにくくなります。

手順5:余った弦を巻き付けて処理する

最後に、結び目から余った弦を、柄革の根元に数回きれいに巻き付けます。巻き終わったら、弦の先端を巻き付けた弦の間に挟み込み、固定します。

見た目が美しくなるだけでなく、結び目がほどけるのを防ぐ役割もあります。これで弦の結び方は完成です。

丈夫でほどけない弦の結び方のコツと注意点

手順通りに結ぶだけでなく、いくつかのコツを意識することで、より丈夫で長持ちする結び方ができます。稽古や試合に集中するためにも、ぜひ実践してみてください。

弦の張りは均等に保つ

弦を張る際には、竹刀全体に均等な張りがかかるように意識してください。特に、弦が中結いの部分でねじれたり、特定の箇所だけ強く張られたりしないように注意が必要です。

弦がまっすぐ通っているか、張り具合は適切か、結ぶ前に必ず確認しましょう。

結び目は根本からきつく締める

柄革部分の結び目は、弦全体の固定を担う最も重要な部分です。結ぶ際は、結び目の根本を指でしっかりと押さえながら、緩みが出ないように力を込めて締めてください。

千枚通しなどを使って、結び目の隙間をなくすように締め上げると、格段にほどけにくくなります。

定期的に弦の緩みを確認する

一度固く結んでも、竹刀は打突の衝撃や稽古の繰り返しによって、少しずつ弦が緩んできます。稽古の前後には必ず弦の張り具合を指で押して確認する習慣をつけましょう。

もし緩みを感じたら、早めに締め直すことが、安全性を保つ上で非常に大切です。

竹刀の仕組み方動画(通常の柄)

竹刀の仕組み方動画(Wの柄)

竹刀の弦に関するよくある質問

ここでは、竹刀の弦に関して初心者の方が抱きやすい疑問についてお答えします

弦の色や種類に決まりはありますか?

竹刀の弦には白、黄、紫など様々な色がありますが、公式な試合で色の規定は特にありません。

ただし、所属する道場や学校によっては慣習で色が決められている場合もあるため、指導の先生に確認するのが最も確実です。素材は化学繊維のものが一般的で、耐久性に優れています。

弦がすぐに緩んでしまう原因は何ですか?

弦がすぐに緩んでしまう主な原因は、結ぶ際の張りの不足や、結び目の甘さが考えられます。手順3の「弦を強く張りながら調整する」工程で、しっかりと張力をかけること、そして手順4の「結び目(こま結び)で固定する」工程で、きつく締め上げることが重要です。

また、新品の弦は伸びやすいため、使い始めは特に緩みやすい傾向があります。

弦を交換するタイミングはいつですか?

弦が擦り切れてきたり、毛羽立ちが目立ってきたりしたら交換のサインです。特に、中結いや先革と接触する部分は摩耗しやすいため、注意深く確認してください。

弦が切れてしまうと稽古や試合に影響が出るだけでなく、安全上のリスクも高まります。少しでも傷みが見られたら、早めに交換することをおすすめします。

まとめ

この記事では、竹刀の弦の結び方について、準備から具体的な手順、長持ちさせるコツまで詳しく解説しました。弦を正しく結ぶことは、自分と相手の安全を守り、剣道の上達を支えるための基本です。

ぜひ、この記事を参考にご自身の竹刀を丁寧にメンテナンスし、万全の状態で稽古に励んでください。

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