剣道豆知識

日本剣道形の手順を徹底解説!昇段審査に合格するためのコツも紹介!

日本剣道形は、剣道の昇段審査において避けては通れない重要な要素です。多くの剣道家が、形の正確な手順や審査でのポイントについて悩んだ経験があるのではないでしょうか。

この記事では、日本剣道形の目的から、太刀の形7本、小太刀の形3本の全手順、そして審査に合格するためのポイントまで、分かりやすく解説します。

日本剣道形とは?

日本剣道形は、剣術の各流派から基本的な技を選び出して作られた、剣道の形の稽古法です。 竹刀稽古と日本剣道形は、車の両輪に例えられるほど、どちらも剣道の上達に不可欠とされています。 形稽古を通じて、剣道の基本的な技術や理論を学び、より深い理解を目指します。

剣道の昇級・昇段審査で必須

剣道の昇段審査では、実技審査と学科試験に加えて、日本剣道形の実演が求められます。初段では太刀の形3本目まで、二段では5本目まで、三段では7本目まで、そして四段以上では小太刀の形3本を含む全てを習得する必要があります。

このように、段位が上がるにつれて求められる形のレベルも高くなるため、日頃からの稽古が重要になります。

打太刀と仕太刀の役割

日本剣道形は、二人一組で演武します。技を仕掛ける側を「打太刀(うちだち)」、それに応じて技を返す側を「仕太刀(したち)」と呼びます。打太刀は師の位、仕太刀は弟子の位とされ、通常は指導者や上級者が打太刀を務めます。

打太刀が仕太刀に技を教え、導くという役割を理解することで、形の意味や理合をより深く学ぶことができます。

役割  立場  概要 
打太刀 師の位(指導者・上級者) 技を仕掛け、仕太刀の技を引き出す。
仕太刀 弟子の位(学習者・下級者) 打太刀の動きに応じ、正しい技を返す。

日本剣道形を行う上での共通の注意点

個々の形の手順を学ぶ前に、全ての形に共通する基本的な注意点を押さえておくことが重要です。これらの基本ができていないと、いくら手順が正しくても評価されません。

正しい礼法

日本剣道形は礼に始まり、礼に終わります。道場への入退場、互いの礼、刀の帯び方や抜き方、納め方まで、一連の所作が定められています。

審査ではこれらの礼法も厳しく見られるため、普段の稽古から正確に行い、自然に身につくようにしましょう。

気勢と呼吸法

気勢は、自身の気力を充実させ、相手を威圧するための重要な要素です。日本剣道形では、打太刀が「ヤー」、仕太刀が「トー」という独特の掛け声を発します。

腹の底から声を出すことを意識し、技と連動させた力強い気勢を心がけてください。また、動きに合わせた自然な呼吸法も大切です。

目付けと残心

目付けとは、相手の目を見て、その動きや意図を読み取ることです。常に相手の目から視線を外さず、全体を捉えるようにします。

残心とは、技を決めた後も心身ともに油断せず、相手の反撃に備える意識を示すことです。打ち終わった後に数秒間、気迫のこもった構えを維持し、最後まで気を抜かないことが求められます。

【太刀の形】1本目から7本目までの手順

ここでは、太刀の形1本目から7本目までの手順の要点を解説します。各形の名称と使われる構えも併せて確認しましょう。

1本目:面抜き面

打太刀は左諸手上段、仕太刀は右上段の構えから始まります。打太刀が大きく面を打ち込んでくるのに対し、仕太刀は一歩下がってそれを抜き、前に出て面を打ち返します。

打太刀の打ち込みは、相手を一刀両断する気迫で、足元まで切り下ろすことがポイントです。

2本目:小手抜き小手

中段の構えから、打太刀が小手を打ち込みます。仕太刀は左後ろに下がりながら剣先を下げて小手を抜き、すかさず前に出て小手を打ち返します。

抜く動作と打つ動作を素早く、かつ正確に行うことが重要です。

3本目:突き返し突き

互いに下段の構えから始まり、中段に移行する過程で攻防があります。打太刀が相手のみぞおちを突くのに対し、仕太刀はそれを「なやして」かわし、相手の胸を突き返します。

「なやす」とは、相手の剣先を殺さずに受け流す技術で、この形における重要なポイントです。

4本目:突き返し面

打太刀は八相の構え、仕太刀は脇構えという特徴的な構えから始まります。打太刀が右肺を突いてくるのに対し、仕太刀は左前に開きながら突きをかわし、正面を打ちます。

特殊な構えと、体さばきを伴う技が特徴です。

5本目:面すり上げ面

打太刀の左上段に対し、仕太刀は中段で対します。打太刀が打ち込む面を、仕太刀は下がりながら剣先で「すり上げ」て受け流し、前に出て面を打ちます。

1本目と似ていますが、「抜く」のではなく「すり上げる」点が異なります。

6本目:小手すり上げ小手

仕太刀が下段、打太刀が中段から始まる複雑な攻防があります。最終的に打太刀が打ち込む小手を、仕太刀は左に開きながらすり上げ、小手を打ち返します。

目付けを離さず、小さな動きで鋭く技を繰り出すことが求められます。

7本目:面抜き胴

中段の構えから、打太刀が胸を突いてきます。仕太刀はこれを受け流した後、打太刀が再度打ち込んでくる面を抜き、胴を打ちます。 この形のみ、仕太刀は胴を打った後に脇構えのような形になり、残心を示します。

【小太刀の形】1本目から3本目までの手順

四段以上の審査で必要となる小太刀の形です。仕太刀が小太刀を使い、打太刀の太刀に応じます。小太刀の際は半身に構えるのが基本です。

1本目(8本目):面抜き面

打太刀の左上段に対し、仕太刀は小太刀を顔の高さに構えます。打太刀の面打ちを、仕太刀は右斜め前に捌きながら受け流し、面を打ちます。

太刀の形とは異なる体さばきと、小太刀ならではの間合いが重要です。

2本目(9本目):面抜き小手

打太刀が下段から中段に攻め上がってくるのを、仕太刀が小太刀で制します。機を見て打太刀が面を打ってくるのを、左前に捌きながら受け流し、面を打ちます。

最後は相手の腕を制して残心を示します。

3本目(10本目):面すり上げ面

仕太刀は下段半身の構えです。打太刀の面打ちを、仕太刀はすり上げ、すり落とし、すり流し、すり込むという一連の動作で制します。

複雑な技であり、滑らかな剣の操作と体さばきが求められます。

昇段審査でよくある減点ポイント

昇段審査に合格するためには、単に手順を知っているだけでは不十分です。       

審査員がどこを見ているのかを理解し、審査でよくある減点ポイントを事前に知っておくことは有効な対策です。

以下にて、よくある減点ポイントと対策をまとめております。

よくある減点ポイント  対策 
礼法が疎か 普段から正しい作法を徹底する。
気勢がない、声が小さい 腹式呼吸を意識し、大きくはっきりとした声を出す。
目付けが外れる 常に相手の目を見る意識を持つ。特に技を出す瞬間に注意する。
残心が不十分 技の後に気を抜かず、2-3秒は構えを維持する。
動きが速すぎる、慌てている 一つ一つの動作を丁寧に行い、落ち着いて演武する。

日本剣道形の稽古で上達するためのコツ

日々の稽古で少し意識を変えるだけで、日本剣道形の上達度は大きく変わります。ここでは、効果的な稽古のコツをいくつか紹介します。

動画を活用して動きを覚える

文章だけでは理解しにくい動きも、動画であれば視覚的に捉えることができます。

全日本剣道連盟が公開している動画や、信頼できる指導者の解説動画を参考に、正しい動きのイメージを掴みましょう。

指導者や上位者に教えを請う

自己流での解釈は、間違った癖がつく原因になります。定期的に指導者や段位の高い先輩に自分の形を見てもらい、客観的なアドバイスをもらうことが上達への近道です。

疑問点は積極的に質問し、解消していきましょう。

鏡を見て自分の動きを確認する

道場に大きな鏡があれば、それを利用して自分の姿勢や動きを確認しながら稽古するのも効果的です。自分のイメージと実際の動きのズレを発見し、修正することができます。

自宅で行う場合は、窓ガラスなどを代用するのも良いでしょう。

まとめ

日本剣道形は、剣道の神髄が凝縮された重要な稽古法です。この記事で解説した手順やポイントを参考に、日々の稽古に励んでください。形の理合を理解し、心を込めて演武することで、あなたの剣道はより一層深みを増すでしょう。

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