剣道豆知識,  居合道

居合道と剣道の違いは?稽古や試合の違い、向き不向きまで解説

居合道と剣道の違いは、日本刀で一人ずつ形を演じるか、竹刀と防具で相手と打ち合うかという点にあります。どちらも全日本剣道連盟が統括する武道ですが、稽古の組み立て、試合の判定方法、体への負担、始めるときの費用まで性格が分かれます。歴史のたどり方や競技人口の差も含めて並べていくと、自分に合うほうが見えてきます。

この記事の要約

  • 居合道は日本刀で形を一人で演じ、剣道は竹刀と防具で相手と打ち合う
  • 居合道の試合は制定居合と流派の形から5本を6分以内に演武して判定される
  • 剣道の有段者は約208万人、居合道は約9.8万人で道場の探しやすさに差がある
  • 体への負担が軽く、剣道未経験からでも居合道は始められる
  • 居合刀は2万5,000円前後から、剣道の防具セットは5万5,000円からが目安

居合道と剣道の主な違い

二つの武道を分けるのは、使う刀剣、相手の有無、勝敗の決め方、装備の四点です。全日本剣道連盟は居合道を、剣道と表裏一体の関係にある心身鍛錬の道と位置づけています。 

参考:居合道について | 全日本剣道連盟 AJKF  

比較の観点 居合道と剣道の違い
使う刀剣 居合道は居合刀や真剣、剣道は竹刀
相手の有無 居合道は仮想の敵、剣道は目の前の相手
勝敗の決め方 居合道は演武の評価、剣道は打突の一本
装備 居合道は道着と袴、剣道は防具一式

竹刀ではなく日本刀を扱う 

居合道で握るのは、竹刀ではなく日本刀の形をした刀です。稽古では刃のついていない模擬刀(居合刀)を使い、段位が上がってから真剣を用いる人も出てきます。

剣道の竹刀には学年や性別ごとの長さの基準がありますが、居合刀に共通の規定はなく、流派や体格に合わせてオーダーメイドを注文する修行者も少なくありません。  

抜刀から納刀まで一人で行う 

居合道の稽古は、鞘に納めた刀を抜き、斬り、血を払い、再び納めるまでの動作を一人で繰り返します。相手と向き合って打ち合う場面はありません。剣道が対人の攻防で技を磨くのに対し、居合道は仮想の敵を想定した形の精度で技を積み上げていきます。 

参考:居合道とは?初心者にもわかる基礎知識|八重垣会  

打ち合いではなく演武で競う 

居合道の試合では、相手を打つ代わりに演武の質を審判が評価します。出場者2名が定められた形を演じ、修業の深さや礼儀、技の正確さ、心構えを比べて勝敗が決まる仕組みです。面や小手をとらえた一本で決着する競技ではありません。  

防具を着けず道着と袴で稽古する 

居合道の稽古着は道着と袴が基本で、面や小手といった防具は使いません。膝を突く形があるため、膝当てやサポーターを足す程度に留まります。剣道は打突を受け止める前提があるので防具一式が欠かせず、この装備差が持ち運びの負担や初期費用にも表れてきます。 

居合道と剣道の稽古内容の違い

稽古の中身を分けるのは、体力の使い方と必要なスペースです。剣道は打ち込みで汗をかき、居合道は静止と抜刀の精度を積み上げていきます。 

稽古の観点 剣道と居合道の進め方
体の使い方 剣道は打突と足さばき、居合道は抜刀と納刀
稽古の相手 剣道は対人、居合道は仮想の敵
必要な広さ 剣道は道場全面、居合道は畳一畳ほど

剣道は打ち込みで汗をかく 

剣道の稽古は、素振りと足さばき、防具を着けた打ち込みで組み立てられます。相手との間合いを詰めて打突を繰り返す時間が長く、稽古後には汗が残る運動量です。

全日本剣道連盟も剣道を、剣道具を着用し竹刀で一対一に打突しあう運動競技種目とみられる武道と説明しています。学生時代の稽古の厳しさを覚えている人ほど、体力の回復具合が再開を決める材料になっていきます。 

参考:剣道・居合道・杖道 | 全日本剣道連盟 AJKF  

居合道は形を繰り返し磨く 

居合道の稽古は、決められた形を繰り返して動作の精度を上げる作業が中心です。全日本剣道連盟が定めた制定居合は12本あり、これに所属する流派の古流の形が加わります。同じ形を何度も抜くため、上達の実感は勝敗ではなく、姿勢や刃筋の安定として返ってきます。  

稽古は畳一畳ほどの広さで足りる 

居合道は、畳一畳ほどのスペースがあれば形の稽古ができます。相手と動き回る前提がないため、体育館の一角や公民館の和室でも成立します。広い床面と防具の置き場を必要としない点は、稽古場所を確保しやすい利点です。  

居合道と剣道の試合と昇段審査の進め方の違い

勝敗の決め方は、居合道が演武の評価、剣道が打突の一本で分かれます。段位審査はどちらにもあり、技の正確さと礼法が見られる点では共通しています。 

比べる場面 居合道と剣道の扱い
試合形式 居合道は5本を6分以内に演武、剣道は一対一の打突
判定基準 居合道は修業の深さや礼儀、剣道は有効打突
審査 どちらも段位審査があり、居合道は連盟ごとに実施

剣道は打突の一本で勝敗が決まる 

剣道の試合は、竹刀で相手の面や小手などを打ち、有効打突と認められた一本で決着します。審判が旗で判定する形式は居合道にもありますが、剣道では相手の動きに応じた攻防そのものが評価の対象になります。

同じ旗判定でも、見られているのは相手との駆け引きの結果です。  

居合道は演武5本を6分で示す 

居合道の試合では、出場者2名が全日本剣道連盟居合と各流派の形から合わせて5本を6分以内に演武します。審判は修業の深さ、礼儀、技の正確さ、心構えなどを見て勝敗を判定します。

制定居合は昭和44年に7本が定められ、その後の追加を経て現在は12本になりました。  

どちらも段位審査で技を評価する 

段位の審査は居合道にも剣道にもあり、形と礼法の正確さが評価されます。居合道では全日本剣道連盟のほかに複数の居合道連盟が存在し、それぞれが独自に演武大会と段級位審査を行う体制です。

審査では制定居合に加えて流派の形も見られるため、どの道場で稽古するかが段位取得の道筋にも関わってきます。  

居合道と剣道、どちらが自分に向いている?

向き不向きを分ける軸は、勝負を求めるか、一人で技を深めたいかという動機の違いです。体力の残り具合と稽古に使える時間も、判断の材料になります。以下にてどちらに向いているかの判断軸について、解説します。 

求めているもの 向いている武道
相手との勝負や試合の緊張感 剣道
一人で静かに技を深める時間 居合道
体への負担を抑えて長く続ける 居合道
刀法と打突の両面を学ぶ 剣道と居合道の兼修

勝負を楽しみたいなら剣道が合う 

相手と打ち合う緊張感を味わいたい人には、剣道が向いています。竹刀を交える攻防の中で駆け引きを読む面白さは、形の稽古では代わりになりません。学生時代の感触が忘れられない人ほど、剣道に戻る選択が自然な流れです。 

一人で集中したいなら居合道が合う 

一人で刀に向き合う時間を求める人には、居合道が合います。仮想の敵を想定して形を繰り返すため、他人と競う場面が少なく、自分の動作だけに意識を向けられる稽古です。

刀の所作や礼法を身につけたいという動機とも、無理なく重なってきます。  

40代以降でも体への負担が軽い 

居合道は走る・跳ぶといった動作を含まないため、体力に自信がない人でも続けやすい武道です。畳一畳ほどの広さでゆっくり体の使い方を学ぶ稽古が中心で、運動が苦手だから始めたという声も紹介されています。

激しく動く場面が少ない点から、女性や年配の修行者にも親しまれてきました。 

剣道未経験でも居合道は始められる 

剣道の経験がなくても、居合道は問題なく始められる武道です。古流居合を伝える道場では、剣道の影響を受けていない刀法を学ぶため、経験の有無は前提にならないと説明されています。

礼法や刀の扱いから順に教える道場も多く、白紙の状態のほうが居合独自の形を素直に吸収できるという見方もあります。  

迷うなら両方を兼修する道もある 

どちらか一方に決めきれない場合は、剣道と居合道を並行して学ぶ道も残っています。居合の入門者に剣道有段者が多いことは、道場側からも語られている実情です。

刀法を学ぶと竹刀の振り方や刃筋の意識にも返ってくるため、二つを行き来する稽古が無駄になることはありません。ただし稽古日と会費が二重になるので、生活の余裕を見てから決める形が現実的です。  

まとめ

居合道と剣道の違いは、日本刀で形を演じるか、竹刀と防具で打ち合うかという一点に集約されます。演武の質で評価される居合道と、有効打突の一本で決着する剣道では、稽古の組み立ても体への負担も別物です。それでも両者は全日本剣道連盟が統括する武道で、段位審査において技の正確さと礼法が見られる点では重なっています。

そのうえで最後まで残る迷いは、自分の体力や生活のリズムに合うのはどちらかという見極めと、最初に何を買い揃えるかという現実的な部分です。見学や体験に進む段になると、刀や稽古着、防具の選び方まで一人で判断しきれない場面も少なくありません。

栄光武道具は、竹刀や剣道着、袴、防具セットから木刀までを扱う剣道具の専門店で、特注防具の製作にも対応しています。スタッフ自身が日々剣道を修錬しているため、初心者の道具選びや体格に合わせた採寸の相談にも同じ目線で答えられる体制を備えており、剣道具以外の武道具は取り寄せで扱っています。

監修者 間所義明の顔写真
監修者
間所義明

取締役

埼玉県出身。 剣道歴40年以上、指導歴25年の実績を持つ剣道教士七段。
1999年に株式会社栄光武道具に入社し、現在は代表取締役社長を務める。経営者として武道具の普及に尽力する傍ら、桜南剣友会会長、越谷市剣道連盟常任理事、全日本武道具協同組合理事などの要職を歴任。
長年の競技経験と指導実績、そして武道具の専門知識を活かし、剣道の技術向上と文化継承のための情報発信を行っている。