剣道が痛いのはなぜ?面や小手の痛みを軽くする対処法を解説
剣道の痛みは、防具の上から正しい部位を打たれた痛み、防具から外れて生身に竹刀が当たった痛み、踏み込みなど体の使い方で起きる痛みの3種類に分かれ、どれに当たるかで打つ手が変わります。同じ「痛い」でも、慣れとともに引いていくものもあれば、道具で防ぐべきものや、稽古を休んで治すべきものが混ざっています。
ここでは痛みの正体を見分けたうえで、面・小手・胴といった部位ごとの和らげ方、体の痛みへの向き合い方、痛くなりにくい防具の選び方を解説します。
この記事の要約
- 剣道の痛みは「正しく打たれた痛み」「生身への打突」「体の使い方による痛み」の3種類
- 正しく打たれた痛みは防具と体が慣れるにつれて和らぐため、稽古の継続で軽くなる
- 面の痛みは面金で受ける角度の調整、面クッションの装着、手拭いの巻き方で軽減できる
- かかとや足裏の痛みは疲労の蓄積が原因で、休養とストレッチ、症状が続くなら受診が必要
- 刺し幅が広い面ほど布団のクッション性が高く、入門者の痛み対策に向いている
剣道の痛みは3種類
剣道の痛みは、打たれ方と体の使い方によって性質が分かれます。自分の痛みがどれに当てはまるかで、道具で対処する話なのか、打ち方を直す話なのか、休む話なのかが決まります。
| 痛みの種類 | 主な部位と対処の方向 |
| 正しい部位を打たれた痛み | 面・小手・胴。防具のクッション性と受け方で軽くなる |
| 防具から外れた生身への打突 | ひじ・前腕・脇腹・喉。サポーターと構えの見直しが効く |
| 体の使い方による痛み | かかと・足裏・手首。休養とフォーム修正が要る |
面や小手を正しく打たれて痛む
面や小手を正しく打たれたときの痛みは、続けるうちに和らいでいく種類の痛みです。防具の布団が衝撃を受け止めるため、鋭い痛みというより重い衝撃として伝わります。ただし買ったばかりの防具は布団が硬く、体も衝撃に慣れていないため、入門から数ヶ月は痛みを強く感じる時期が続きます。この段階の痛みは、防具がなじみ、受け方を覚えるにつれて目立たなくなっていきます。
防具が外れ肘や脇腹を打たれる
生身に竹刀が当たる痛みは、我慢の対象ではなく防具と構えで防ぐ痛みです。小手を狙った竹刀が外れると前腕やひじに直撃し、胴を打ち損ねた竹刀は脇腹に入ります。
喉を狙う突きも当たりどころによっては頸動脈損傷など喉頭部の障害につながるため、不当な打突は反則として扱われます。痛みが同じ場所で繰り返し起きるなら、サポーターの追加や間合いの取り方を先生に相談するほうが早く解決します。
参考:剣道における安全性への取り組み(2025年4月更新)|全日本剣道連盟
踏み込みでかかとや足裏を痛める
右足のかかとや足の裏が痛むときは、打たれた痛みではなく、踏み込みの衝撃が積み重なったサインです。素足で板張りの床に強く踏み込む動作を繰り返すため、かかと・アキレス腱・足の裏に負担が集まります。竹刀が当たっていないのに痛いという点が、前の2種類との分かれ目になります。
面が痛いときの対処法
面の痛みは、竹刀を受ける角度と面の内側の当たり方を変えるだけでも軽くなります。道具で緩和する方法と、稽古中にすぐ試せる工夫を並べて見ていきます。
| 対処の手段 | 得られる変化 |
| 受ける角度を変える | 頭頂部への直撃を避け、面金で衝撃を逃がせる |
| 面クッションを入れる | 頭頂部の衝撃が和らぎ、大きめの面のずれも抑えられる |
| 手拭いを厚めに巻く | 面と頭の隙間が埋まり、打突時のぐらつきが減る |
| 痛みを言葉で伝える | 相手が打突の強さを調整し、痛みの原因が共有される |
脳天を打たれない角度で受ける
竹刀を頭頂部でまともに受けないだけで、面の痛みはかなり変わります。あごを引きすぎて頭のてっぺんを差し出す姿勢になると、布団の薄い部分に衝撃が集中してしまいます。視線をやや前に向け、面金の上部から布団の厚い部分で受ける形にすると、衝撃が分散されて響きにくくなります。痛みを怖がって目を閉じたり顔を伏せたりする癖は、かえって痛い当たり方を招きます。
面クッションで衝撃を減らす
頭頂部の痛みには、面の内側に装着する面クッション(面調整布団)が効きます。厚さ5mm程度の薄口から2cm程度の厚口まで剣道具店で販売されており、面の内側に取り付けて衝撃を受け止めます。
もともとは大きめの面のサイズを詰めるための小物ですが、頭頂部に厚みが加わることで打突の衝撃が和らぎ、少年剣士の痛み対策として選ばれています。装着も取り外しも簡単なので、痛みが強い時期だけ使う運用もできます。
手拭いを厚く巻いて隙間を埋める
手拭いの巻き方を変えると、道具を買い足さなくても痛みが軽くなります。頭頂部にあたる部分を二重、三重に折り返して巻けば、面と頭の間の隙間が埋まり、打突時に面が動きにくくなります。面がずれるとかえって痛い場所に衝撃が入るため、巻き方の工夫は衝撃の吸収とずれ防止の両方に効いてきます。
痛いと相手や先生に伝える
痛みを感じたときは、その場で相手や指導者に伝えるほうが解決が早いです。元立ちや上級者は、初心者がどの程度の打突で痛がるかまでは分かりません。「面が頭のてっぺんに当たって痛い」と部位を添えて伝えれば、打突の強さや位置を調整してもらえます。痛みを隠して稽古を続けると、打たれる恐怖から姿勢が崩れ、さらに痛い当たり方を招く悪循環に入りかねません。
小手と胴の痛みはどう防ぐ?
小手と胴まわりの痛みは、防具でカバーしきれない部分に竹刀が当たることで起きます。守り方は、サポーターの追加、体の使い方、着るものの3方向に分かれます。
| 痛む場所 | 有効な守り方 |
| 手首・手の甲 | 小手の下に装着する手首用サポーターで衝撃を受け止める |
| 脇腹・わき | 打たれる瞬間に体幹へ力を入れ、当たりを浅くする |
| 前腕・ひじ | 袖の長い剣道着やひじ用サポーターで生身を覆う |
小手プロテクターで手首を守る
手首の痛みには、小手の内側に仕込むサポーターが効果的です。小手は布団の厚い甲の部分と、動きやすさを優先した手首まわりで作りが異なり、外れた打突が手首側に入ると痛みが出ます。剣道具店では手や腕に装着するサポーター類が扱われており、小手の下に重ねても握りを妨げない薄手の製品を選べば、稽古の動きを保ったまま衝撃を減らせます。
打たれる瞬間に脇腹へ力を入れる
胴を打たれた際の脇腹の痛みは、当たる瞬間に体幹を締めることで軽くなりやすくなります。体の力が抜けた状態で竹刀が入ると、衝撃がそのまま肋骨まわりに伝わってしまいます。胴を打たれると分かった場面で腹と脇に力を込めておくと、当たりが浅くなり痛みが残りにくくなります。打突を避けようと体を反らす動きは、かえって胴から外れた位置に竹刀を呼び込みます。
袖の長い剣道着で腕を覆う
前腕やひじへの打突が続くなら、剣道着の袖丈を見直す価値があります。袖が短いと小手と剣道着の間に生身の腕が露出し、外れた竹刀が直接当たります。袖が手首近くまである剣道着なら布一枚分の緩衝が生まれ、痛みも擦れも軽くなります。それでも同じ場所を打たれる場合は、ひじ用のサポーターを併用する方法があります。
体の痛みは休むサインと捉える
打たれていないのに痛む部位は、稽古量と体の使い方が原因です。ここは道具で解決する話ではなく、休ませ方とケアの判断が中心になります。
| 症状 | 判断の目安 |
| かかとの痛み | 踏み込みの衝撃による炎症。安静が回復の近道になる |
| 足裏のマメ | 皮膚の摩擦が原因。テーピングで保護しながら治す |
| ふくらはぎ・すねの張り | 筋肉疲労。稽古前後のストレッチで軽くなる |
| 手首・ひじの慢性的な痛み | 数週間続くなら整形外科の受診を検討する |
かかとの痛みは稽古を休んで治す
かかとの痛みが出たら、まず踏み込みの回数を減らして休ませます。素足で床を蹴る動作の繰り返しで、かかとの骨のまわりに炎症が起きるためです。痛みを押して稽古を続けると回復が遅れ、かばう動きから膝や腰にまで負担が広がります。かかと用のクッション入りサポーターを併用すると、復帰後の衝撃もやわらげられます。
足裏のマメはテーピングで守る
足裏のマメは、つぶさずに保護しながら治すほうが早く落ち着きます。すり足と踏み込みで皮膚が繰り返しこすれるため、母趾球や土踏まずの前あたりにできやすくなります。
稽古前にテーピングを貼って摩擦を減らせば、痛みを抑えながら足さばきを続けられます。歩き始めの一歩目にかかとや土踏まずが強く痛む状態が続く場合は、足底筋膜炎の可能性があり、医療機関ではストレッチやインソールによる治療が行われています。
すり足の筋肉痛はストレッチで防ぐ
すね・ふくらはぎ・腕の外側に出る張りは、筋肉疲労による痛みです。普段の生活で使わない筋肉をすり足や素振りで動かすため、稽古を始めた時期に集中して出てきます。稽古前のウォーミングアップと、稽古後にアキレス腱やふくらはぎを伸ばす習慣をつくると、翌日に残る張りが軽くなっていきます。
数日で引く痛みであれば、体が稽古に順応している途中の反応と考えられます。ただし同じ痛みが繰り返し出る場合や、痛みが強まる場合は、医療機関に相談すると安心です。
手首やひじの痛みは早めに受診する
同じ関節の痛みが数週間続くときは、自己判断を続けずに整形外科で診てもらいます。素振りや打ち込みの反復で手首やひじに負担がかかり、炎症が慢性化するケースがあるためです。
腫れや熱を持つ、力が入らない、夜も痛むといった変化があれば、休養だけで様子を見る段階を過ぎています。全日本剣道連盟も稽古中の事故防止に向けた情報収集と安全対策の周知を進めており、体の不調を早めに指導者へ共有することが、安全に稽古を続ける前提になります。
参考:剣道における安全性への取り組み(2025年4月更新) | 全剣連のお知らせ | 全日本剣道連盟 AJKF
痛くない防具はどう選ぶ?
防具の作りとサイズは、痛みの感じ方を左右します。とくに面と小手は、布団の厚みと頭や手への合い方で衝撃の伝わり方が変わってきます。
| 選ぶ観点 | 痛みへの効き方 |
| 刺し幅 | 6mmや8mmなど幅が広いほど布団が厚く、衝撃を吸収する |
| 面のサイズ | あご先から頭頂部の一周を測り、隙間とずれをなくす |
| 小手の布団 | 甲の布団が厚い型ほど打突の衝撃が手に伝わりにくい |
| 購入場所 | 専門店なら採寸と試着で体格に合う一組を確認できる |
刺し幅が広い面は衝撃を吸収する
痛みを抑えたいなら、刺し幅の広い面を選びます。刺し幅とは布団を縫うステッチの間隔で、5mm刺、6mm刺のように表記されます。幅が狭いほど芯材が圧縮されて布団が硬くなり、打たれたときに痛みが出やすくなります。逆に6mmや8mmのように幅が広い防具は芯材の厚みが残るため、クッション性が高く、剣道の痛さに慣れていない入門者に向いています。
顔周りを測りサイズを合わせる
面のサイズが合っていないと、どれだけ布団が厚くても痛みは残ります。基本となるA寸は、あご先から耳の前を通って頭頂部を一周した長さで測ります。目安として57〜60cmが幼年、61〜66cmが少年・中学生、67〜69cmが高校生・一般の標準サイズにあたります。大きすぎる面は打突のたびに前後へずれ、内輪が顔に当たって痛む原因になるため、実寸に合う一組を選ぶ意味は小さくありません。
小手は布団が厚い型を選ぶ
小手は、甲の布団に厚みのある型を選ぶと打突の痛みが軽くなります。小手の痛みは手の甲と手首に集中しやすく、薄く仕上げた小手ほど衝撃が直に伝わります。
握りやすさを優先した薄手の小手は操作性に優れる一方、初心者が毎回痛みを感じる原因にもなりかねません。稽古量が増えるまでは、厚みとクッション性を優先する選び方が無難です。
専門店で試着して確かめる
痛みで悩んでいるなら、通信販売の数値だけで決めず、専門店の採寸や相談を使います。頭の形や手の大きさは個人差が大きく、同じ寸法表示でも当たり方は変わってきます。
剣道経験のあるスタッフがいる店では、痛む部位を伝えるとサポーターや刺し幅の提案を受けられます。成長期の子どもは体格が変わるため、買い替えの時期も含めて相談しておくと無駄が出にくくなります。
まとめ
剣道の痛みは、正しく打たれた痛みなら稽古と防具のなじみで和らぎ、生身への打突ならサポーターと構えの見直しで防げ、かかとや足裏の痛みなら休養とケアで回復に向かいます。痛みの種類を見分けることが、我慢すべき痛みと手を打つべき痛みの線引きになります。数週間続く関節の痛みは、休むだけで様子を見る段階を越えています。
とはいえ、刺し幅や面のサイズ、サポーターの種類まで自分だけで判断するのは簡単ではありません。防具が合っていないまま稽古を重ねると、痛みが理由で剣道そのものを遠ざけてしまうこともあります。
栄光武道具は、剣道具の通販と特注防具の製作に対応しており、刺し幅の異なる面や小手、手・足・腰用のサポーター、テーピングまで幅広く取り扱っています。スタッフ自身が剣道を続けているため、痛む部位や体格を伝えれば防具選びの相談ができ、電話やLINEからも問い合わせが可能です。品質に満足できない場合の全額返金にも対応しており、初めての一組でも選びやすい体制を備えています。詳しくは以下からご確認ください。
取締役
埼玉県出身。 剣道歴40年以上、指導歴25年の実績を持つ剣道教士七段。
1999年に株式会社栄光武道具に入社し、現在は代表取締役社長を務める。経営者として武道具の普及に尽力する傍ら、桜南剣友会会長、越谷市剣道連盟常任理事、全日本武道具協同組合理事などの要職を歴任。
長年の競技経験と指導実績、そして武道具の専門知識を活かし、剣道の技術向上と文化継承のための情報発信を行っている。