剣道豆知識

剣道着の洗濯方法!色落ちや縮みを防ぐ洗い方と干し方のコツも解説!

稽古でたっぷりと汗を吸い込んだ剣道着、そのままにしておくと臭いやカビの原因になってしまいますね。しかし、いざ洗おうとすると「洗濯機に入れても大丈夫なのか」「色落ちして他の服に移らないか」と不安になる方は多いのではないでしょうか。

この記事では、剣道着の素材に合わせた正しい洗濯方法から、型崩れを防ぐ干し方のコツまでを詳しく解説します。大切な道着や袴を長くきれいに使い続けるために、ぜひ参考にしてください。

剣道着を洗濯する前に知っておくべきこと

剣道着を洗う前に、まずはお手持ちの道着の素材や特性を正しく理解しておきましょう。

素材によって適した洗い方が全く異なるため、確認せずに洗ってしまうと取り返しのつかない失敗につながりかねません。ここでは、洗濯を始める前に押さえておきたい基礎知識を紹介します。

項目 藍染(綿) 化学染料(ジャージ素材など)
主な特徴 風合いが良く、殺菌・防臭効果がある 色落ちしにくく、乾きやすい
洗濯方法 手洗い推奨(洗濯機は慎重に) 洗濯機OK(ネット使用推奨)
色落ち 非常にしやすい ほとんどしない
縮み お湯や乾燥機で縮みやすい 縮みにくい

洗濯の頻度は稽古量や汗の量で判断する

洗濯のタイミングは「汗を大量にかいたとき」や「臭いが気になり始めたとき」が基本です。毎回洗うのが衛生的ではありますが、特に藍染の綿道着は洗うたびに生地が傷み、色も薄くなっていくため、必ずしも毎回洗う必要はありません。

夏場の激しい稽古の後は毎回洗うのが望ましいですが、冬場や軽い稽古の後は、風通しの良い場所で陰干しをして汗を飛ばすだけでも十分な場合があります。ご自身の稽古の頻度や汗の量に合わせて、柔軟に判断していきましょう。

藍染と化学染料の素材では洗い方が違う

剣道着には大きく分けて、伝統的な「藍染(綿)」と、扱いやすい「化学染料(ジャージ素材など)」の2種類があります。ジャージ素材の道着は色落ちの心配が少なく、洗濯機で通常の衣類と同じように洗えるものが多いのが特徴です。

一方で、藍染の道着は非常にデリケートです。洗濯機の強い水流や回転で生地が傷んだり、激しく色落ちしてしまったりするリスクがあります。そのため、藍染の道着に関しては、できる限り手洗いで優しくケアすることをおすすめします。

藍染の色落ちは避けられないものと心得る

藍染の道着を洗う際、水が青く染まるほどの激しい色落ちに驚くかもしれません。

しかし、これは藍染特有の性質であり、避けることは難しい現象です。むしろ、適度に色が落ちていくことで、使い込まれた良い風合いが出てくるのが藍染の魅力でもあります。洗濯の際は「色は落ちるもの」と割り切り、他の衣類への色移りを防ぐ対策を徹底しましょう。

特に最初の数回は色落ちが激しいため、単独で洗いましょう。また、洗面所や浴室の壁に藍色の飛沫が飛ばないよう注意してください。

洗剤は中性のおしゃれ着洗剤を選ぶ

剣道着を洗う際の洗剤選びは非常に重要です。一般的な粉末洗剤や蛍光増白剤入りの洗剤は洗浄力が強く、藍の色を必要以上に落としてしまったり、変色の原因になったりします。

使用するのは「エマール」や「アクロン」といったおしゃれ着洗い用の中性洗剤を選びましょう。汚れがそこまでひどくない場合や、藍の色を極力残したい場合は、洗剤を使わずに水洗い(ぬるま湯洗い)だけで済ませるのも一つの賢い方法です。

剣道着の基本的な洗濯手順

ここからは、特に注意が必要な藍染の剣道着や袴を想定した、基本的な手洗いの手順を解説します。

手洗いは手間がかかるように思えますが、慣れてしまえばそれほど難しい作業ではありません。生地への負担を最小限に抑えるためにも、ぜひ挑戦してみてください。

手順1:袴のひだを整え洗濯ネットに入れる

まずは洗濯前の準備として、袴のひだをきれいに整えてからたたむことが重要です。ひだが崩れたまま洗ってしまうと、乾いた後に元に戻すのが大変で、アイロンがけに苦労することになります。

丁寧にたたんだ道着や袴は、それぞれサイズの合った洗濯ネットに入れます。ネットに入れることで、手洗いの最中に生地が広がって型崩れするのを防ぐことができます。

大きすぎるネットだと中で動いてしまうため、ぴったりサイズのネットを用意しましょう。

手順2:浴槽やたらいで優しく押し洗いする

洗う場所は、洗面台のシンクや大きめのたらい、あるいは浴槽を使用します。たっぷりの水またはぬるま湯を張り、中性洗剤を適量溶かしたら、ネットに入れた道着を沈めましょう。

洗い方は、上から優しく押しては離す「押し洗い」が基本です。ゴシゴシと擦ったり揉んだりすると、生地が傷み、色落ちの原因になります。

水の中で繊維の奥から汗を押し出すようなイメージで、ゆっくりと繰り返し押してください。水が真っ青になると思いますが、驚かずに作業を続けましょう。

手順3:洗剤が残らないよう2〜3回すすぐ

洗いが終わったら、汚れた水を捨ててきれいな水に入れ替えます。洗いと同様に、ネットの上から優しく押して洗剤成分や汚れをすすぎ出しましょう。この工程を水がきれいになるまで、あるいは泡が出なくなるまで2〜3回繰り返します。

すすぎが不十分だと、残った洗剤が乾いた後に白いシミとなって浮き出てきたり、肌荒れの原因になったりすることがあります。

水の色が多少青くても、泡切れが良くなれば問題ありませんので、しっかりと洗剤を落とし切ることが大切です。

手順4:脱水は1分以内の短時間で済ませる

最後は脱水です。手で絞ると生地をねじって傷めてしまうため、洗濯機の脱水機能を利用するのが安全です。ただし、通常のコースで長時間脱水してしまうと、強い遠心力でシワが定着し、袴のひだが取れてしまう恐れがあります。

生地を裏返し、脱水時間は「1分以内」を目安に、水が滴らない程度になれば十分です。洗濯機の設定で時間を調整するか、タイマーをセットして手動で停止させましょう。

脱水が終わったらすぐに取り出し、放置せずに次の「干す」工程へと進みます。

洗濯機で剣道着を洗う時の注意点

ジャージ素材の道着や、汚れがひどくない普段使いの綿道着であれば、洗濯機を使って洗うことも可能です。

ただし、通常の衣類と同じ感覚で放り込んでしまうと失敗の元です。洗濯機を使用する場合に必ず守ってほしいポイントを確認しましょう。

手順 内容 所要時間の目安
1.準備 袴のひだを整え、たたんでネットに入れる 3分
2.洗い 浴槽やたらいで優しく押し洗いをする 5〜10分
3.すすぎ 水を入れ替え、泡が出なくなるまですすぐ 5分
4.脱水 洗濯機でごく短時間(1分以内)脱水する 1分

「手洗いコース」など弱い水流で洗う

洗濯機には様々なコースがありますが、剣道着を洗う際は「手洗いコース」「ドライコース」「おしゃれ着コース」といった、水流の弱い設定を選んでください。標準コースの強い回転は、剣道着の分厚い生地には負担が大きく、破れやほつれの原因になります。

また、全自動洗濯機にお任せにするのではなく、脱水の設定だけは手動で短く変更することをおすすめします。

もし設定変更ができない機種の場合は、脱水が始まったら時計を見て、1分ほどで停止ボタンを押して強制終了させると良いでしょう。

色移りを防ぐため他の衣類とは別に洗う

藍染の道着はもちろん、色落ちしにくいと言われるジャージ素材であっても、念のため他の衣類とは分けて洗うのが鉄則です。特に白いワイシャツやタオルなどと一緒に洗ってしまうと、うっすらと青色が移ってしまうリスクがあります。

「面倒だからまとめて洗いたい」という気持ちになるかもしれませんが、大切な衣類をダメにしないためにも、剣道着は剣道着だけで洗うようにしましょう。

洗濯槽の中に前の洗濯物の残りが無いかも、事前に確認しておくと安心です。

型崩れ防止のため洗濯ネットを必ず使用する

洗濯機で洗う場合、洗濯ネットを使用しましょう。ネットに入れずに洗うと、洗濯槽の中で道着が絡まり合い、生地が引っ張られて伸びたり、袴のひだが無茶苦茶になったりしてしまいます。

また、面ファスナー(マジックテープ)がついている場合、他の生地を傷つけることも防げます。ネットに入れる際は、ただ詰め込むのではなく、きちんとたたんで入れることが大切です。

特に袴は、ひだを整えた状態でネットに入れ、ネットの中で動かないようにジャストサイズのものを選ぶか、余ったネットの端を縛るなどして固定すると、よりきれいに仕上がります。

剣道着を傷めず長持ちさせる干し方

洗濯と同じくらい重要なのが「干し方」です。間違った干し方をしてしまうと、せっかく丁寧に洗っても縮んでしまったり、変色してしまったりします。

ここでは、剣道着を長く愛用するための正しい干し方のポイントを紹介します。

直射日光を避けて陰干しをする

剣道着を干す際の最大の敵は「直射日光」です。日光に含まれる紫外線は、藍染の色を分解して変色させたり、生地を急激に乾燥させて縮ませたりする原因になります。そのため、直射日光の当たらない風通しの良い場所で「陰干し」をしてください。

室内干しでも構いませんが、厚手の生地は乾きにくいため、扇風機やサーキュレーターの風を当てて空気を循環させると良いでしょう。早く乾かすことで雑菌の繁殖を抑え、生乾きの嫌な臭いを防ぐ効果も期待できます。

袴はひだを整え筒状になるように干す

袴を干す際は、立体的に干すことがポイントです。物干し竿にそのまま掛けるのではなく、ピンチハンガーなどを利用してウエスト部分を円形に広げ、筒状になるように吊るします。こうすることで内側に空気が通りやすくなり、乾燥時間を大幅に短縮できます。

また、干す直前に手のひらでパンパンと叩いてシワを伸ばし、ひだの形を手で丁寧に整えておきましょう。このひと手間で、乾いた後の仕上がりが劇的に良くなり、面倒なアイロンがけの手間を減らすことができます。

型崩れを防ぐため厚手のハンガーを使う

上衣(道着)を干す際は、肩の部分に厚みのあるしっかりとしたハンガーを使いましょう。クリーニング店でもらうような細い針金ハンガーだと、水分を含んだ重い道着を支えきれずに変形したり、肩の部分に不自然な跡がついたりしてしまいます。

もし専用のハンガーがない場合は、通常のハンガーにタオルを巻き付けて厚みを出したり、物干し竿に袖を通してT字型に干したりする方法も有効です。道着の重さを分散させて、型崩れを防ぐ工夫をしましょう。

これはNG!剣道着洗濯でやってはいけないこと

最後に、剣道着の洗濯でやりがちな失敗例を紹介します。良かれと思ってやったことが、逆に道着の寿命を縮めてしまうこともあります。

以下のNG行動は絶対に避けるようにしてください。

NG行動 発生するリスク
漂白剤の使用 激しい色落ち、変色、生地の劣化
乾燥機の使用 極端な縮み(子供サイズになることも)、生地の傷み
お湯洗い 色落ちの促進、生地の縮み
天日干し 紫外線による変色(日焼け)、ごわつき

漂白剤やアルカリ性の強い洗剤は使わない

汚れや臭いが気になるからといって、漂白剤を使用するのはNGです。塩素系、酸素系を問わず、漂白剤は藍染の色素を強力に分解してしまいます。一度色が抜けてしまった部分は元には戻りません。

また、洗浄力の強い粉末洗剤もアルカリ性のものが多く、色落ちの原因になります。「頑固な汚れ用」と書かれた洗剤は避け、中性表示のある洗剤を使用しましょう。

どうしても汚れが落ちない場合は、洗剤の量を増やすのではなく、ぬるま湯でのつけ置き洗いを試してみてください。

乾燥機の使用は縮みの原因なので避ける

洗濯が終わった後、早く乾かしたいからと乾燥機にかけるのは禁物です。剣道着、特に綿素材のものは、熱を加えると繊維が収縮する性質があります。乾燥機にかけると、大人が着られないほど小さく縮んでしまうケースも珍しくありません。

コインランドリーの乾燥機はもちろん、家庭用洗濯機の乾燥機能やお風呂場の浴室乾燥機の温風も避けた方が無難です。時間はかかっても、自然乾燥でじっくりと乾かすことが、道着を長持ちさせる秘訣です。

藍の色を落としてしまうお湯洗いはしない

皮脂汚れを落とすにはお湯が効果的ですが、藍染の道着に関しては注意が必要です。温度が高すぎるお湯は、汚れと一緒に藍の染料まで落としてしまいます。

色落ちを最小限に抑えたいなら、水を使うのが一番安全です。汚れ落ちを考慮してぬるま湯を使う場合でも、温度は30度以下(手で触れて少しぬるいと感じる程度)に留めておきましょう。

熱湯消毒などは生地を激しく傷めるため、絶対に行わないようにしてください。

まとめ

この記事の要点をまとめます。

剣道着は適切なケアを続けることで、その風合いを増し、長く愛用することができます。今回紹介した手順を参考に、ぜひ次回の稽古後から正しい洗濯方法を実践してみてください。清潔で整った道着での稽古は、きっと身も心も引き締まるはずです。

正しい洗濯方法を実践していても、使い続けるうちに生地の傷みや色落ちが気になってくることがあります。そんなときは、新しい一着への買い替えを検討してみてはいかがでしょうか。

栄光武道具では、洗濯しやすいジャージ素材から伝統的な藍染まで幅広い剣道着を取り揃えています。ぜひ、以下からお気に入りの一着をお探しください。

監修者 間所義明の顔写真
監修者
間所義明

取締役

埼玉県出身。 剣道歴40年以上、指導歴25年の実績を持つ剣道教士七段。
1999年に株式会社栄光武道具に入社し、現在は代表取締役社長を務める。経営者として武道具の普及に尽力する傍ら、桜南剣友会会長、越谷市剣道連盟常任理事、全日本武道具協同組合理事などの要職を歴任。
長年の競技経験と指導実績、そして武道具の専門知識を活かし、剣道の技術向上と文化継承のための情報発信を行っている。