剣道の試合場の正しい作り方とは?寸法や必要な手順を解説
剣道の試合場を自分たちで設営することになったけれど、正確な寸法や手順がわからないと悩んでいませんか。この記事では、剣道の試合場を作るために必要な基本の寸法や手順を解説します。
読み終わると、公式の規定に沿った正しい試合場をスムーズに準備できるようになります。
剣道の試合場を作る前に知っておきたい基本の寸法
剣道の試合場を設営するにあたり、まずは全体の大きさや規定の寸法を正しく理解することが重要です。なんとなくの感覚でラインを引いてしまうと、試合の公平性を損なう原因になります。ここでは、全体的なサイズと細かな印の寸法について詳しく説明します。
| 項目 | 規定の寸法 | 備考 |
| 試合場の一辺 | 9メートルから11メートル | 会場の広さに応じて調整します |
| 形状 | 正方形または長方形 | 正方形が一般的です |
| 外側の余白 | 1.5メートル以上 | 選手の安全確保のために必要です |
| バツ印の大きさ | 30センチから40センチ | 中心にバツ印を作ります |
| 開始線の長さ | 50センチ | 左右に1本ずつ引きます |
| 中心からの距離 | 1.4メートル | バツ印の中心から測ります |
試合場全体の広さと境界線のサイズ
剣道の試合場は、全日本剣道連盟の規定により床は板張りが原則とされています。そして境界線を含む一辺の長さは、9メートルから11メートルの間に設定する必要があります。会場の広さに余裕がない場合は9メートルとし、正式な大きな大会などでは11メートルで作られることが多いです。
基本的には正方形で作りますが、体育館の形状や確保できるスペースによっては長方形になることも認められています。一辺の長さは会場の大きさに応じて無理のない範囲で設定するとよいでしょう。
中心位置のバツ印と開始線の規定
試合を行う二人の選手が立つ位置を示すため、中心位置や開始線にも厳密な寸法が定められています。まず、試合場の中心位置には一辺が30センチから40センチのバツ印を作ります。
そこから左右にそれぞれ1.4メートル離れた位置に、開始線を引くのがルールです。この開始線の長さは50センチと決まっています。選手はこの開始線に合わせて立ち、蹲踞の姿勢から立ち上がって試合を始めます。正確な位置に印をつけることは、スムーズな試合運営のために欠かせません。
試合場の設営に必要な道具剣道の試合場を作る前に知っておきたい基本の寸法
実際の設営作業に入る前に、適切な道具を揃えることで作業効率が格段に上がります。身近なもので代用しようとすると、ラインが曲がったり床を傷つけたりする恐れがあります。主に必要な道具を紹介します。
| 必要な道具 | 選び方のポイント | 用途 |
| ラインテープ | 幅5センチから10センチの白色 | 境界線や開始線を引くために使います |
| 長尺メジャー | 30メートル以上測れるもの | 全体の長さや対角線を正確に測ります |
| 雑巾やモップ(もしあれば良いもの) | 乾いた清潔なもの | テープを貼る前の床の汚れを拭き取ります |
ラインテープ
境界線などを引くためのテープは、原則として白色を使用します。テープの幅は5センチないし10センチのものが規定の幅です。床材やフローリング専門業者によると、剣道場に一般的な粘着テープを長時間貼ることはなるべく避けた方がよいとされています。
粘着剤が床にこびりついたり、剥がす際に床を傷めたりする原因になるからです。そのため、試合場専用として販売されているラインテープを使用するか、剥がしやすいタイプのテープを選ぶことをおすすめします。専用のテープであれば、適度な強度がありながらも綺麗に剥がすことが可能です。
長尺メジャー
9メートルから11メートルという長い直線を測るため、長尺メジャーは欠かせない道具です。短いメジャーを何度も継ぎ足して測ると、どうしても誤差が生じやすくなります。また、のちほど解説する中心を出す作業では対角線の長さを測らなくてはいけません。11メートルの正方形の場合、対角線の長さは約15.5メートルになります。
したがって、少なくとも20メートル、できれば30メートル以上測れる巻き尺を用意しておくと安心です。たるまないようにしっかりと張りながら測ることが、綺麗な試合場を作るコツです。
剣道の試合場を正しく作る際のポイント
道具が揃ったら、実際に床にラインテープを貼っていく作業に入ります。行き当たりばったりで進めると、最後に正方形がずれてやり直すことになりかねません。また、以下の表は試合場を作る際の順番になります。
| 手順 | 作業内容 | 注意するポイント |
| 1 | 基準となる一辺を決めてテープを貼る | 壁や床の木目と平行になるようにします |
| 2 | 残りの三辺を測りながら直角に貼る | コーナーが正確な90度になるよう意識します |
| 3 | 対角線を結んで中心を出す | 2本のメジャーを交差させると簡単です |
| 4 | バツ印と開始線を作成する | 指定された距離を正確に測ってテープを切ります |
外枠となる境界線の測り方と貼り方
まずは基準となる一辺の長さを決め、メジャーをピンと張って直線を確保します。体育館の床の板目や、壁のラインと平行になるように合わせると見栄えが良いでしょう。両端に目印をつけたら、その間に沿って白色のラインテープをまっすぐに貼っていきます。
次に、その直線に対して直角になるように隣の辺を作ります。このとき、3対4対5の比率を利用したピタゴラスの定理を使うと、正確な直角を出すことが可能です。4つの辺すべてが同じ長さになり、隙間なくテープが繋がれば外枠が完成します。
対角線を活用した中心の出し方と開始線の設置
外枠ができたら、次は試合場の中心を見つける作業に移ります。正方形の角と角を対角線上で結ぶように、メジャーを2本交差させます。交差した点がちょうど試合場の中心になる仕組みです。そこに30センチから40センチの長さのテープを二本交差させ、バツ印を作ってください。
最後に、そのバツ印の中心から左右へ直線上に向かってそれぞれ1.4メートル測ります。そこに長さ50センチの白テープを引けば、開始線の完成です。これで、選手が試合を行うための基本的なコートが出来上がります。
設営や撤収時の床への配慮
試合場の設営は、ラインを正しく引いて終わりではありません。会場を利用するすべての人が安全に競技に集中できるよう、環境への配慮が求められます。とくに床の状態や周囲のスペース確保について確認しておきましょう。
ラインテープの粘着剤による床への影響
前述の通り、フローリングや板張りの床にテープを長期間貼りっぱなしにするのは避けるべきです。剣道は素足で行う競技であり、床の状態が踏み込みや怪我のリスクに直結します。テープの粘着剤が床に残ってしまうと、足の裏が引っかかって思わぬ怪我に繋がる恐れがあります。
そのため、一時的に設営した試合場であれば、大会や稽古が終わった後は速やかにテープを剥がすようにしてください。剥がす際も、無理に強く引っ張るのではなく、床の木目に沿ってゆっくりと剥がすことが床を傷めないためのコツです。
安全な試合運営のための周辺スペース確保
境界線の外側には、原則として1.5メートル以上の余白を設ける決まりがあります。試合中に激しい打ち合いになり、選手が場外に飛び出してしまうことは珍しくありません。もし境界線のすぐ近くに壁や観客席があった場合、衝突して大怪我をする危険性が高まります。複数の試合場を隣り合わせに設営する場合も、コートとコートの間には十分な距離を保つ必要があります。
広さに余裕がない会場であっても、この安全上の余白だけは削らないように配置を工夫してください。選手が安心して全力で試合に臨める環境を作ることが、設営に関わる人の大切な役割です。
まとめ
この記事の要点をまとめます。
- 試合場は板張りの床に9メートルから11メートルの一辺で正方形や長方形に作る
- 中心のバツ印から1.4メートル離れた位置に50センチの開始線を引く
- 幅5センチから10センチの白色ラインテープと長尺メジャーを用意する
- 正確な直角と対角線を意識して境界線をまっすぐに引く
- 床の保護と選手の安全確保のためテープは早めに剥がし周囲の余白を確保する
正しい寸法で安全に配慮した試合場を設営し、実りある稽古や大会を実現していきましょう。
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取締役
埼玉県出身。 剣道歴40年以上、指導歴25年の実績を持つ剣道教士七段。
1999年に株式会社栄光武道具に入社し、現在は代表取締役社長を務める。経営者として武道具の普及に尽力する傍ら、桜南剣友会会長、越谷市剣道連盟常任理事、全日本武道具協同組合理事などの要職を歴任。
長年の競技経験と指導実績、そして武道具の専門知識を活かし、剣道の技術向上と文化継承のための情報発信を行っている。