剣道豆知識

剣道の足さばきとは?4種類の基本と練習のコツを解説! 

稽古のたびに「足が止まっている」「すり足になっていない」と注意され、どこをどう直せばいいのか分からず困っていませんか。剣道の足さばきは、送り足・歩み足・継ぎ足・開き足という4つの基本があり、いずれもすり足を土台とした足の運び方です。まずこの4種類と使い分けを押さえることが、上達への近道になります。 

この記事では、それぞれの動き方から練習方法、つまずきやすい間違いの直し方までを順番に解説します。読み終えるころには、自分の足さばきの直すべき点が見えて、次の稽古からすぐに試せるようになるでしょう。 

剣道の足さばきとは?

剣道の足さばきとは、すり足を使って姿勢を崩さずに移動する、足の運び方のことです。日常の歩き方とは違い、足の裏を床から離さずに動かすところに特徴があります。 

剣道には「一眼二足三胆四力(いちがんにそくさんたんしりき)」という言葉があり、目の次に足が大切だと説かれています。それだけ足さばきは、剣道の動き全体を支える基礎になっているのです。実際の稽古では、次のような場面すべてに足さばきが関わってきます。 

参考:第17回 目付けについて | 全日本剣道連盟 AJKF 

すり足で姿勢を保つ足運び 

足さばきの土台になるのが「すり足」です。かかとを軽く浮かせ、つま先で床をするように滑らせて動きます。足を高く上げないので上体が上下せず、いつでも打てる姿勢を保てるのです。まずはすり足で静かに動けることが、あらゆる足さばきの出発点になります。 

打突と技を支える土台になる 

面や小手などの技は、手だけでは決まりません。足で体を運び、その勢いを竹刀に伝えて初めて有効打突になります。

つまり足さばきは、技を相手に届かせるための土台だといえます。足の準備が遅れると、どれだけ手が速くても技は届きにくくなってしまうのです。 

足さばきの基本となる構えとすり足のコツ

きれいな足さばきは、正しい構えと重心の置き方から生まれます。剣道の基本である中段の構えでは、右足を前、左足を後ろにして、足の幅はこぶし一つ分ほどに開きます。 

ここで意識したいのが重心の位置です。重心が外側やかかとへ逃げると、蹴り出しが弱くなり、手だけで打つ「手打ち」になりがちです。次の表で、構えと重心のポイントを整理します。 

部位 ポイント
右足 前に置き、かかとを紙一重ほど浮かせる
左足 後ろに置き、かかとを2〜3cm浮かせて蹴り出しに備える
重心 拇指球(親指の付け根)に乗せて内側で支える
上体 背筋を伸ばし、頭の高さを一定に保つ

中段の構えで重心を保つ 

足さばきは、構えが崩れていると安定しません。中段の構えで両足の幅と前後の位置を決めて、動いても形が変わらないようにします。

特に左足は床をしっかりとらえ、いつでも前に押し出せる状態にしておきましょう。構えが土台として決まっていれば、動き出しがぶれにくくなります。 

拇指球に体重を乗せる 

重心は、足の内側にある拇指球(親指の付け根のふくらみ)に乗せる意識を持つと安定します。ここに体重が乗っていると、左足で床を押したときに力が前へ伝わるのです。

反対に重心が外側へ逃げると、前に出る力が抜けて打ちが軽くなってしまいます。まずは立った状態で、拇指球に体重を感じられるか確かめてみてください。 

つま先で床をすべらせる 

移動するときは、つま先で床をするように足を運びます。かかとから動くと足音が出て、動き出しも一拍遅れてしまうのです。左足のかかとは床につけず、つま先で押し出す感覚を保つとよいでしょう。この足づかいができると、静かで速い移動につながります。 

剣道の足さばき4種類の使い分け

剣道の足さばきは、大きく4種類に分かれます。送り足・歩み足・継ぎ足・開き足の4つで、場面によって使い分けるのが基本です。全日本剣道連盟の資料でも、足さばきの基本はこの4つとされ、打突でよく使う踏み込み足は送り足が発展した形として位置づけられています。 

参考:全日本剣道連盟「剣道技術の成り立ち」 

昇段審査の筆記で問われるのもこの4種類ですから、名前と特徴をセットで覚えておくと安心です。まずは全体像を表で確認しましょう。 

種類 主に使う場面 動きの特徴
送り足 前後左右への移動、打突 進む方向の足を出し、もう片方を引きつける
開き足 技をかわす、応じ技 斜め前へ開き、体を相手に正対させる
継ぎ足 遠い間合いから打つ 左足を右足に寄せてから打ち込む
歩み足 遠い距離の移動 左右の足を交互に出して進む

送り足は前後左右の基本 

送り足は、剣道でいちばん多く使う基本の足さばきです。前後・左右・斜めのどこへでも、この足で移動します。進みたい方向の足を先に出して、すぐにもう片方の足を引きつけ、構えの形に戻します。

前に出るときは左足で床を押し、右足を出してから左足を引きつける、と覚えるとよいでしょう。 

開き足は横へかわす動き 

開き足は、相手の打突を横にかわしながら打つときや、応じ技で使う足さばきです。右に開くなら右足から斜め前へ出し、左足を引きつけます。

このとき、つま先を相手へ向けたまま動くのがコツになります。つま先が外を向いてしまうと中心を外し、かえって隙をつくってしまうので注意してください。 

継ぎ足で間合いを詰める 

継ぎ足は、遠い間合いから一気に打ちたいときに使います。左足を右足の近くまで引き寄せ、その勢いで右足を前に出して打ち込むのです。

気をつけたいのは、引き寄せた左足が右足を越えないようにすることです。越えてしまうと歩み足になり、打ちの起こりも相手に読まれやすくなります。 

歩み足で遠い間合いを進む 

歩み足は、間合いが大きく離れているときに使う足さばきです。普段の歩行と同じように、左右の足を交互に出して前後へ移動します。

ただし、つま先を上げず、すり足のまま歩くところが日常の歩き方と違います。試合で使う場面は限られますが、日本剣道形や切り返しの受け手などで登場します。 

踏み込み足で打突を決める 

踏み込み足は、送り足から発展した打突のための足さばきです。面や小手を打つ瞬間に右足を強く踏み込み、打ちと足を同時に合わせます。

この踏み込みがないと、有効打突として認められにくくなるのです。初心者がつまずきやすい動きなので、送り足に慣れてから練習すると身につけやすくなります。 

足さばきでやりがちな間違い

足さばきは、頭で分かっていても体が思うように動かないものです。ここでは、初心者がつまずきやすい間違いと、その直し方を整理します。自分の動きに当てはまるものがないか、確認しながら読んでみてください。 

よくある間違い 起きる問題 直し方
かかとから動く 足音が出て動きが遅れる つま先で床を押す意識に変える
左足の引きつけが遅い 次の技に移れず居着く 出した足に左足をすぐ寄せる
上体が前後に沈む 姿勢が崩れて隙ができる 頭の高さを一定に保つ

かかとから動き音が出る 

歩くときのようにかかとから動くと、床に足がぶつかって音が出ます。動き出しも一拍遅れるため、相手に打ち込まれやすくなってしまうのです。

かかとは軽く浮かせ、つま先で床を押し出すようにしましょう。足音が消えてくると、すり足が身についてきた合図です。 

左足の引きつけが遅れる 

前に出た後、左足の引きつけが遅いと、その場に足が止まってしまいます。この状態は「居着き」と呼ばれ、次の技につなげられません。

一本打って終わりになりやすい人は、左足の引きつけが遅れていることが多いのです。右足を出したらすぐ左足を寄せる練習を、繰り返し重ねていきましょう。 

上体が前後に沈み込む 

移動のたびに上体が上下したり前後に沈んだりすると、姿勢が崩れて隙が生まれます。原因の多くは、足で床を蹴りすぎているところにあります。

頭の高さを一定に保ち、水平に移動する意識を持つと安定するでしょう。壁や鏡で頭の位置を確かめながら動くと、ぶれに気づきやすくなります。 

足さばきが上達する練習方法

足さばきは、日常では使わない動きですから、繰り返しの練習で体に覚えさせる必要があります。ここでは、道場でも自宅でも取り組みやすい練習を紹介します。竹刀がなくても始められるものばかりなので、少しずつ試してみてください。 

練習メニュー 狙い 取り組みの目安
前進後退のすり足 送り足の基本を固める 板の間を往復して繰り返す
八方向への移動 どの方向へも崩れず動く 一歩動いて元の位置に戻る
素振りとの組み合わせ 手と足を連動させる 前進後退しながら正面素振り

前進後退のすり足を反復する 

最初に取り組みたいのが、前進と後退のすり足です。構えた姿勢のまま、送り足で前に進み、後ろに下がる動きを繰り返します。自宅の板の間でもできる、基本の練習になります。

姿勢が上下しないよう、頭の高さを保ちながらゆっくり正確に動くところから始めましょう。 

八方向へ運んで軸を保つ 

慣れてきたら、前後左右と斜めを合わせた八方向への移動に挑戦します。中段の構えのまま一歩動いたら、必ず元の位置に戻ってから次へ進みます。

右方向は動きやすい一方で、左方向は足が交差しやすいので、左足から動く意識を持つとよいでしょう。続けるうちに、体の軸を保つ感覚が身についていきます。 

素振りに足さばきを組み込む 

足の動きに慣れたら、素振りと組み合わせて実戦に近づけます。前進後退をしながら正面素振りをすると、手と足のタイミングが合ってくるのです。

打ちと踏み込みを合わせる感覚も、この練習で少しずつつかめます。足さばき単体の練習と交互に行うと、上達しやすくなります。 

まとめ

この記事の要点を振り返ります。 

まずは基本のすり足から、次の稽古で一つずつ試してみてください。 

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監修者 間所義明の顔写真
監修者
間所義明

取締役

埼玉県出身。 剣道歴40年以上、指導歴25年の実績を持つ剣道教士七段。
1999年に株式会社栄光武道具に入社し、現在は代表取締役社長を務める。経営者として武道具の普及に尽力する傍ら、桜南剣友会会長、越谷市剣道連盟常任理事、全日本武道具協同組合理事などの要職を歴任。
長年の競技経験と指導実績、そして武道具の専門知識を活かし、剣道の技術向上と文化継承のための情報発信を行っている。